下衆なマニヤの有神論

小説を書き続け(途中絶筆したが)十云年、自分の力が如何程のものか試したい。

【趣味】映画「The BATMAN」鑑賞!!

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やってやってやり尽くした感のあるバットマンだが、新たな魅力を引き出してくれるのかどうなんか

前情報ほぼゼロで観に行った。

っていうか自分いっつも前情報ゼロやな。予告やポスターで観に行くか決める。

というのも、初めて見て物語を知る衝撃を味わえるのは初回の一回だけだから!!!!だから!!!

 

結果から言うと、非常に良かったです!非常に好みでした!!

自分はドルビーシネマで見たんだが、見るならあーいう黒がバキッと出る、音の良い映画館で見てほしい。

 

一旦ネタバレナシで言うと

バットマン=正義の味方」という認識である者の頬を、制作陣にピタピタと叩かれながら「だれが正義だってぇー?」とニヤニヤされる映画。

 

おすすめです。

 

また、今回も感想を書く前にはどこの(だれの)感想も見ていない状態で書いてます。

<以下ネタバレあり>

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バットマン(ヒーロー)がいるせいで悪がはびこる

 DCでもMCUでも言われるこれ。これ言い始めるとキリが無くなって、また内輪もめがあるから好きじゃない。

 掘れば掘るほど面白い観点だけど、落とし所をしっかり考えてないとバラバラで終わるのでやっぱり好きじゃない。

 もうこの視点はええねんという気持ちだったが・・・そこは安心のデキでした!それどころか問題はそんなことじゃない!

 もっと手前のスタートだよ!という映画!

 

■好青年実業家バットマンはいない

 バットマンがなぜバットマンになったかなんて、皆が知っている当然のことだ。

 ・・・という部分と、知らなかった(今作で表現したかった)ことがすごくマッチしていたと思う。

 親を殺されて、本当に聖人君主のまま育つのか?その正義は正義ではないのではないか?

 そんな考えがあったのかは分からないが、今作はまさにそこを掘り下げていたと感じている。

 いつもならスマートな所作で正義を貫くバットマンなど今作にはいない。

 いるのは、ただただ復讐に取り付かれた青年だ。

 

■事前知識が必要

 上記したような「親を殺された」とか「正義」とか、バットマンの基本情報を知っていないとなかなか初っぱなから入り込めないんじゃないかなと感じた。

 だからこそ今回のブルースの卓越した表現に感動するし理解できるんだと思う。

 

■真顔でぶんなぐる

 悪党を真顔でぶん殴りまくる。

 いままでのバットマンみたいにガジェットを披露すべくスマートな立ち振る舞いなどなし!

 殴る!俺は!お前を!殴る!

 っていうぐらい殴る。おかげで助けたはずの人にも怯えられる。

 もう初っぱなのこのシーンで、見てるこっちが(バットマン・・・どうした・・・?)てなるのがすごい。

 

■黒い闇が迫る

 バットマンが暗闇から現れるのは、コウモリ的に当たり前なんだが

 この映画今まで以上に暗い!闇がすごい!(ダブルミーニングで)

 本人の語りをバックにしながら、犯罪者が扉の奥の暗闇を見て怯え、犯罪を止めて逃げ去るシーンが連続して映る。

 犯罪者からしたら「暗闇から黒いコスプレ野郎がくる」という考えがあるのが理解できる。暗闇にむかってじっくりズームするのがめっちゃいい。

 そして、その意識は犯罪者だけではないーー一般人からしても、同じ意識なのだ!こわい!

 得体の知れないガチムチのコスプレ男がやってくるぞ!それが今作の共通認識。

 

■笑いどころも多い

 ナチュラルにぶっ込んでくる不条理な笑いが面白い。

 バットマンがゴードンに連れられ犯罪現場に来れば、他の捜査員から「おいおいコスプレ野郎がきたぞ」とひそひそされ

 証拠品に触れば「そいつに証拠品触らせてもいいんですか?」とゴードンへ忠告が入り

 それに対して「ーーいいんだ、手袋してる」という返し。それをひそひそやり取りされていることに気付いているのに気にしないバットマンの真顔(笑)

 めっちゃ最高。

 同じく捕まったバットマンに脱走計画を持ちかけるゴードンとのやりとりも最高。どれもバットマンが真顔なのがまたいいんだよなー!

 

バットマンがヤンキーすぎる

 今回はまだヒーローとして出来上がってないバットマンなわけだが

 ペンギンを追うときのバットモービル(手作り感満載)の空ぶかしがヤベェwww

 やばすぎてめっちゃ笑える!

 何の効果もなく単純な脅しで空ぶかし、しかも長い!そりゃペンギンも怯えるわ!!てなる。

 そのほか、バックパックに荷物(コスチュームなど)を詰め込んでバイクで移動しまくる姿は青年実業家とは遠い。

 

■めっちゃ謎解きする

 謎解きに翻弄されるというよりは、結構サクサクと謎を解くバットマン一行。

 しかし解いたもののそこには落とし穴があってーーみたいな展開が非常に良かった!

 アルフレッドすげぇぇからのアルフレッドおぉぉお!という流れに笑いも出そうになる。まさかの展開でなにしてくれとんねんwwwという。

 

■親

 清廉潔白なブルース・ウェインは清廉潔白な両親に大事に大事に育てられ・・・というイメージがあったわけだが

 今回曝かれたのはその親の罪だ。それが本当なのかは今後また掘り下げられるのかもしれないが。

 まさかそこにそういう部分を持ってくるのか、と驚いた。

 

■アルフレッドのイメージ

 老齢のおちついた知性派で、いままでだと忠実な執事でありながら父親役っぽい感じだったが

 今回のアンディ・サーキスはまだ若くガチムチ!しかもブルースに強くなるため体技を教えたらしい!すげぇ!

 年齢がブルースと近いからか、父親という印象は薄めでブルースからも「父親でもない」とはっきり言われてしまい可哀相・・・。

 ポジションはいままでのアルフレッドのような父親という感じよりも、相棒っていう印象が強いな。

 しかしそんなアンディ・サーキス、ガチムチでデカいイメージついてたけど身長173cmなんやて!びっくり!

 しかもどこかで見たことある役者さんだよなーと思って調べたら「ロードオブザリング」のゴラム、「スターウォーズ」のスノークという・・・!

 人間じゃなーーーい!!!ソコに既視感だったんか???

 

キャットウーマン

 めっちゃかわいい。始めナタリー・ポートマンかと思った(笑)。メガネいるレベルの見間違い。

 スタイルいいのは言うまでもなく、セクシーと格好いい、可愛いも全部併せ持ってる感じがすごく良かった。

 

リドラー

 自分の中のリドラージム・キャリーリドラーエドワード・ニグマから返信した狂人リドラーになるとコミカルで明るくテンションアゲアゲ。

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 どうなってまうんかな、という心配が無かったわけではないが、今回のリドラーポール・ダノは非常に良かった。

 といっても表情を確認できるのは終盤少しだけだが、それでも(あのマスクの下ではこんな地味めの男がにやにや笑いを堪えてたんだろうな)とか

 想像ができるのがすごい。

 最後の最後まで、正直コーヒー店で捕まった時でも「えっ?この人が?」と思うんだが、やっぱりそうだったんだなぁという気持ち。

 以前のジムキャリーリドラー(っていうか往々にして昔のヒーローものは)狂人になっていく様までしっかりと書かれているから

 そこへの理解や破壊へのわくわく感っていうのがあるんだが

 今回は一切正体が分からず、目的も一応分からず、っていう状態。

 見ている我々も事件を「非常に恐ろしいものだが指をくわえて見るしかない」一般の人と同じ目線になれることが非常に良かったと思う。

 

バットマン

 目の周りが黒いのがリアルでいい。んでかっこいい。

 出来上がってないからの中二感すごい(笑)。そんで人間的にも出来上がってないから見てるこっちにもバットマンに対して不信感がある。

 そんな中で、市長の葬儀が襲われたとき正義もなにも考えずに勝手に体が動き子どもを護ろうとするブルース・ウェイン。これはバットマンの姿じゃなかったというのがミソだな。

 ラバースーツに護られもしていない生身の人間の体で、成るべき道を、無意識に自分で選んで進んで行くのが見えた瞬間だったと思う。

 

■ほぼ緊張なのでコミカルなシーンが長いこと維持できる

 ゴードン警部補とわざとらしい喧嘩の演技をしてた後、逃亡。大勢の警官が追いかけてきて階段横の扉からも大勢出てくるという

 まさにカリオストロの城状態で上階へ逃げまくるバットマン

 しかし警察署(?)の屋上に立って「うわ!」てマジでビビッてたり、意を決して飛び降りたりするのが今までにないコミカルさ。

 バット(こうもり)というよりもモモンガに近い擬態で飛び降りるし、パラシュート開くのに失敗してゴロゴロゴロ!てこけるし

 このゴードンとのやりとりは緊張のやりとりからスタートしても良かったかもしれんのだが

 コミカルにすることで、3時間のうちに貴重な緩和を得られたのが非常に助かる。

 あとこけたりしていることで、ブルース・ウェインの人間くささやまだ成長しきってない感じなどが見られて、狂人の主人公をより身近に感じられて良い。

 

■ハァハァしながら女の部屋を覗く

 映画スタート時、リドラーが市長の部屋を望遠鏡で覗いているのと同じ事を、バットマンが女(キャットウーマン)の部屋でやる。

 やってることが!リドラーと!おんなじなんですよ!!!!と肩を叩いてやりたい。

 多分殴られる。

 

■犯罪者になるかヒーローになるかスレスレ。

 捕まったリドラーを防犯ガラス越しに詰問するが逆に「きみと一緒に完成させようと思ってたのに!」とか言われて「お前と一緒にするな!」と激昂。

 防犯ガラスをガンガンぶんなぐるその姿は狂気。それを見て喜ぶリドラー。絶対恐怖している視聴者(笑)

 折角、今回の完全なるヴィランを捕まえたのに落ち着かない視聴者・・・おいお前が怖いからやぞバットマン、てなる。

 リドラーが言うことも一理あると感じる場面。

 

■その後の堤防破壊

 これ、面白いのはリドラーを捕まえたのにまだまだやらないといけないことが多いこと!

 気が抜けねーんだ!ということでバットマンは調査再開。

 ここでの刑事とのやりとりが呑気でかわいい。というか、まさかそんな切羽詰まった状況だとはまだ思っていないから二人で探り探りなわけだが。そこがいい。

 んで、見てるこっちは「エッ?まさかそんなところに? 間に合うよね?間に合・・・わんのかーーーい!!」ってなる。あまりのことに口があんぐりしたまま閉じれんかった。

 

■自分のやるべきことをやるしかない

 バットマンはとにかく被害を最低限にすべく現場へ駆けつける。

 この時点で、本人の「復讐」からどんどん遠ざかって「人々の命を守る」事にシフトしているんだが、全てが繋がっているので違和感なく行動しているのが理解できる。

 

■そこのキスはいらんやろ

 んでそこのキスはいらんやろ。それまで結構いい感じでキッスのスリルがあったのにそのタイミングでそんなんいらんやろ。

 ってすっごい思った。案の定背後狙われとるしな。

 

■怯える市民。差し伸べた手を取る者はいない

 市民を助け、救助しようと手を差し伸べたがだれもその手を取らないどころかすっかり怯えている。

 しばらく無言で固まる空気。バットマンも上手く何か言えばいいのになにも言えない。

 その手を取ったのは、子どもでした・・・市長の葬儀の際無意識に護ったのも子どもで、今回その手を取ったのも子ども。

 彼の善としての面を映し出す鏡が子どもなんだろうか。

 そこから、皆がバットマンの後ろをついていく。赤い発煙筒の光に照らされ、市民を導くその姿はまるで宗教画のような神々しさすらある。

 上部から映し出すその画角もめっちゃエモい。

 

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総評:★★★★☆ ほし、4.3!

いままで見たことのないバットマンの世界感とキャラクター。

大人じゃないその主人公の中二感がめっちゃおもろい。

この作品すごいなと思ったのは、3時間あるのに3時間ということを全く感じなかった。それも緩急がしっかりしているからだと思う。

本当に見て良かった、ぜひ音響や映像の綺麗なところで見てほしい!