下衆なマニヤの有神論

小説を書き続け(途中絶筆したが)十云年、自分の力が如何程のものか試したい。

【創作・小説】「完結・触れたその手を引き寄せて」について

これは完結した勢いで書き殴っております。
内容にも言及しますので、小説をお読みいただいた上で不要なことだと思われる方は読まれないようお願いいたします。
当然、読まなくても何の問題もありません。








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■岩嵜
 前作を書いてから、感想で「岩嵜さんとくっつくと思っていなかったです」的なコメントもいただいていましたが
 実はそのとおりで、前作ではあまり岩嵜サイドの感情や状況を書かないようにしようと思っていました。
 話の流れ上「加瀬による岩嵜のSNS爆撃」は岩嵜サイドの描写になりましたが、それ以外は何を考えているのかとかの心情描写を極力避けていたつもりです。
 岩嵜に対する読者側の感情移入をなるべくさせないことで、幸也と加瀬という二人の主人公を立たせようとしました。
 また、下手に書くと病的とも言える岩嵜の独占欲がポロリするから書けませんでした。
 もともと続編を書くつもりではなかったので、ぼんやりした設定だけして置いといて、完結したのが前作です。
 岩嵜まで風呂敷を広げると、高校だけで完結できないのが見えていたところもあります。
 「その声は~」で書かなくても、その後幸也はそのどえらい独占欲や嫉妬で翻弄されたり苦しんだりするな、コリャ。とは思っていました。
 最終的に自爆のお兄さん。ごめんよ岩嵜さん。
 岩嵜さん、ぼろぼろすぎてなんかもうぼろくそにされるのが可愛いというか、なんというか。S心が沸き立って仕方ありませんでした。
 一応フルネームもあって(今作の前半で考えてた)「岩嵜 保次(いわさき やすじ)」っていいますが、保次のインパクトすげーので一度も出しませんでした。


■加瀬 瑞希
 加瀬の謎の五年間。設定はありますが不要だったので明言していません。
 以下は設定コピペ。
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よねはら自動車整備で働く。訓練校を春に卒業、二級をもってはいるがまだ手帳がないからひとりで検査とかできない。訓練校時代からよねはら自動車整備で働いていた。会社に籍があるのは加瀬の方が先だがリョウとは同期。
薄緑色のツナギを着ている。借り上げ社宅マンション四階の一人暮らし。
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 高校二年で衝撃の失恋をした加瀬は、自分の生き方を見つめ直して保健室のババァ(笑)のサポートも受け、自分がやりたいこと・やるべきことを見つけました。
 高校時代に培った人間関係は薄っぺらいもので、まじめに勉強をし始めて付き合いが悪くなった加瀬からどんどん離れていきます。
 (彼らはずば抜けた陽キャなので嫌がらせをしたり嫌みをいったりするような人たちではないのが救いでした)
 勉強をして自動車の職業訓練校に合格、二年間通いながらよねはら自動車整備でアルバイトをしていました。
 幸也と再開した年の春には卒業しており、正社員雇用と社宅への入居をしています。
 実家は元々次男である瑞希を放任していましたが、進学として自動車の整備を選んだ事に(特に兄が)激怒。
 「どうせだめだろうから最後に投げ銭してやる」と訓練校の授業料を全額支払い「もう帰ってくるな、のたれ死ね」と絶縁状態です。
 どこにも頼ることの出来ない背水の陣で、加瀬は誰にも弱音を吐かずに戦ってきました。


■幸也
 岩嵜を愛していたはずの幸也の心が、加瀬との再会で揺らぐところからはじまる「触れたその手を引き寄せて」ですが
 前作のエピローグの時点では、幸也の感情をやや曖昧にしていました。
 成長をした加瀬を見た衝撃に、蘇る過去の恐怖、そして加瀬を拒絶した最後に感じた胸の痛みーーそんなものが混ざった感情です。
 決して加瀬の事を好きだとかそういう単純なものではありませんでした。

 「触れたその手を引き寄せて」でそこからさらに踏み込んでしまったのが幸也の罪咎です。それさえなければ、きっと幸也は岩嵜と普通に、幸せに暮らしていました。
(ただ、それでも岩嵜の根本はアレなので、添い遂げることは出来ていないでしょうが)
 どちらかというと今まで外的要因でふらふらとしていた幸也が、人を傷つける事の罪も責任も受け入れて
 自分の意志で選択をするという成長の結果が今作の最後となります。
 結局、幸也はドMです。←極論すぎ
 前作で、同じ陸上部の田辺に幸也自身がゲイであることを指摘され
 そして追求されて自分が「ネコ(受け)」であることを認めたことからも
 幸也は基本的に言葉責めに弱く、そんで快感にも弱いです。ち○○には勝てなかったよ……を地でいく性質。
 芯はあるのにドロドロに溶かされる。そんなところが不憫ビッチと呼びたくなるキャラでした。


■神倉 鉄夫(かみくら てつお)
 ぼんやりととある役者さんを思い浮かべながら書いていました。
 なにせ、テレビを見ないので思い浮かべる人がすげぇ古いわけですけども……。
 出す必要の無い情報で本名は「神田鉄夫(かんだてつお)」です。とたんに地味な、男っぽい名前がかわいい。
 若い時に岩嵜を裏切ったものの、心の奥底に想いを隠して封じ込め、彼を愛し続けている純粋で一途なキャラです。
 もともとはただのヤリ○ン設定だったんだけど、なんか壮大になった。


■園沢 優花(そのざわ ゆうか)
 すごく愛されて、すごく甘やかされてきた女性。
 加瀬が今まで付き合ってきた(作品内で彼女と名言しているのはユイナだけですが)女性の中でも特殊な人です。
 そういう人に今まで出会わなかったのも、加瀬がいた世界が「今」の場所とは違っていたからです。
 どっちかというと、過去加瀬がいた場所ではワイルドで単純な女性ばかりでした。

 優花は結構始めのほうから、主導権を握りたがる発言をさせたりややヒステリックな感情を出させていましたが
 それもこれも、ワガママが許されてきた出自であるという部分を微妙ににおわせようと頑張っていました。
 大した挫折も知らなかった優花に対して、(決して良い環境で育ってきたわけではない)加瀬からの別れの言葉は
 加瀬を愛してきたという事実を上回るほどの優花にとっての衝撃でした。
 もうちょっと加瀬とのイチャイチャしたかれぴっぴ的なはっちゃけた感じも書きたかったです。


■加瀬の同僚;デンちゃんとリョウ
 誰がリョウのフルネーム「種川 涼(たねがわ りょう)」を覚えているんだろうか。自分ですら作品のはじめのほうを探ったわい。
 というリョウですが、実家住まいなのにややチャラ男な感じが楽しかったです。
 そのちょっと軽い感じで、過去の加瀬やトシ先輩の世界観を彷彿とさせる存在にしました。
 それに加瀬が対することで、加瀬の変化を印象づけることを目的とした部分もあります。
 餅撒きの時のリョウはちょづいてましたが、女子中学生とどんな関係があるんだろうか……(考えてない)。
 とりあえず、2級自動車整備士資格を作中初期にしっかりと持っているのは加瀬とデンちゃんとリョウ3人のうちでリョウだけです!(加瀬は交付待ち)

 デンちゃんこと「田中 典久(たなか のりひさ)」。子沢山大男、番外編では3児の父です。奥さんは倫子さん。
 今作はじめから、2級自動車整備士の資格取得のために実践を頑張ってやっていました。(3級は持ってる)
 まだ2級資格は持っていなくても、信頼感のある男です。 

■似たものカップ
 加瀬と優花、そして岩嵜と幸也は、カップル構成がほぼ同じです。

加瀬は振られた時点で人生を変えるほどのショックをうけ更正、その後優花にはその思いを吐露し謝罪
幸也は岩嵜を傷つけた自分を直視し岩嵜に謝罪

優花は自分の話が通らない事に憤り加瀬に暴力を振るい、結果的に……(番外編でやる予定)
岩嵜は幸也を失う恐怖からやってはいけないことをし、また幸也本人から別れを告げられる

 あからさまな対比ではありましたが、そんな感じで書いていました。


■ホットミルクと幸也
 岩嵜が作るホットミルク初登場は、時系列で見ると七月です。
 「いやいや、くそ暑いやんそんなん」という気持ちで書いていました。
 それでも、なぜホットミルクにしたかというと、そこに発生する違和感を求めていたからです。
 冬にホットミルクなら「そだねー、体あったまって寝れるねー」ですむところ
 夏場にホットミルク……しかも場所はクーラーもない部屋……。
 岩嵜にとってそれはただ「幸也を眠らせる薬が溶かしやすいホットが良かった」という理由だけです。
 幸也の安眠を望んだものでもなんでも無い。
 あまり良くない環境で生活している幸也を思いやることも無いその時点で、岩嵜のエゴは丸出しです。
 最終的に幸也は岩嵜の行動に違和感を覚え、飲みません。
 1.シナモンの粉が減らずにずっと上部に浮いていること
 2.飲んでいる描写を描かず、書いても「香り」に関すること
 3.幸也の言葉がしゃっきりしていること
 この3点で飲んでないということを少しでも表現できたらなぁと思っていました。バレバレだったでしょうか。
 ん?よく考えたらシナモンって結構底に沈んどるもんだな……。


■どうでもいいクロスオーバー
 岩嵜と神倉鉄夫が出会ったバーは、過去に書いた投稿用小説に出てくるバーです。マスターも。
 今作にはそこまでの言及も意味が無いのでしていませんが、自分の中では大事な場所となっています。

 そして、この作中トシ先輩とユイナ、そして加瀬と賢吾と大知の5人で行ったと描写されるテーマパークは
 前作の夏休みに幸也、透、咲妃、菅谷が行ったテーマパークで、
 じつは拙作「潔癖性の俺がアイツにアナルを許すまで」で立川と佐夜子が行ったテーマパークと同じ場所です。

 このテーマパークにも細かい設定があり、パークキャラクターにも名前などいろいろあって、それも過去に出版社投稿用に書いた作品の舞台です。
 ゲイバーやテーマパークなど、これらの設定が出てくる投稿用は「出版社投稿用」といいつつ応募していません。
 いっぺんどこかに投稿してチャレンジしようとしてはいるもののどこにしたらいいのかぜんぜん分かっておらず勉強不足が露呈して放置中。


陽キャ軍団
 前作でわーわーやりまくった陽キャたち。
 なんか絡ませられたらおもしろいなぁと思っていましたが、進学してから地元を離れればそんなに会う事もないよなぁという気持ちもあり、書けませんでした。
 詳しく書くことはしませんでしたが、一応ぼんやり決めていることは以下です。
<トシ先輩 大学四年でウェイウェイやっている。不動産屋の営業に内定(その後伝説を作るばりの活躍をすることになるとは誰も知らない)>
<ユイナ(女子短大卒家事手伝い)と大知(大学四年でスポーツ用品メーカーに内定)は交際順調。とりあえずめっちゃ幸せ>
<淳平 居酒屋店長?酒屋?イベンター?考えてないけどなんかくそエロい感じに成長>
<慎人 相変わらずふらふらした社会人。トシ以降の後輩とはつるんでない>
<ジャイさん ジャイさん>

 そんな感じです。


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書いていて、前作は「いててて」と思うことが多かったのですが
今作は胸が「いててて」となる事が多く、まぁどっちにしろ痛々しい(いろんな意味で)話になりました。
彼らの続き(私生活)が想像できるせいか、あまり「書き終わった!」という気持ちになっていません。


書きたいネタはまだまだたくさんあります。
これからもいろいろ書いていきますので、よろしくお願いいたします。

芥文亭 虎太郎