下衆なマニヤの有神論

小説を書き続け(途中絶筆したが)十云年、自分の力が如何程のものか試したい。

【趣味】映画「マティアス&マキシム」

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鑑賞してきました。感想を言いたい。
相変わらずのネタバレ100%なのでお気をつけください。
会話などはうろ覚えでその雰囲気を表現するものなので、いいまわしが違うなどはお許しを。
あと展開も前後している可能性ありだけど許して。
そして毎度のことながら名前をほとんどおぼえてない。






■最高の悪ガキ友達
主人公の二人がどうとかよりも(暴言)、それをしのぐ友人たちが素晴らしい!
ロン毛、金持ち、普通、貧乏(頑張ってる)、ちゃんとしてる、公務員(と思われる)
ハッパ吸いつつ大騒ぎ、別荘前の湖におもむろに飛び込んで昔話、食事をしながらゲーム。
いい男たち(見た目もトシも)が童心に帰って最高にわいわいやっている姿が最高に楽しい。
ずっと見ていられるバカ。友情が深いからこそ「おまえはそうやっていつも言葉に突っ込んでくるな」「突っ込んでないよ」「突っ込んでるだろ、知ってるぞ」
とやりはじめればみんながワイワイ「いやあのときだって」と話し始める。一歩間違えれば喧嘩になりそうなところだが危うさが無い。
何やってても楽しい友達たち。そして皆を大事に思うその懐の深さと優しさにあふれている。
ずっと見てられる!

■金持ち友人の妹
こまっしゃくれ(笑)の妹。英語を使うと「くそったれ英語なんか使うな!」みたいに兄に怒られている。かわいい。
それでも妹は負けない。
まるで小学生の兄に付いてまわりをうろうろする妹のようだ。
そんな妹のこともみんなで見守ってきたのだろう。おとこたちは妹が「映画を撮ってる」と言ってきたことに「勝手にやっとけよ!」という反応をしていてかわいい。
しかし問題がおこる。出演をするはずの二名がやってきていない。そこで、優しいマキシムは「いいよ」と出演に同意したことで運命がかわる。

■妹の自主制作映画
本当にすごいのかどうかがわからん。だって親とその周囲が「すごいすごい」ともてはやしているだけだ。
でもマットとマックスの運命を変えたことを考えると絶対すごい。

■マットの出演とキス
先述したくだらない友人とのノリの賭けで負けたマットは出演しないといけなくなり、役を聞くと「マックスとディープキスをする」役だと判明。
「ふざけんな、いやだ!」とくっそ抵抗して怒るマット。そりゃそうだ。と理解していたところに、意外にも諦めムードで受け入れているマックス。
さらには「覚えて無いのか?昔キスしたことがある」「ない!」というやりとり。友人たちも覚えていて「してたろ!」という突っ込みも。
二人でひっそりというよりかなりオープンにやらかしたキスらしい。その時点で、きっと今回のように罰ゲーム的なノリがあったはずだ。
それを覚えているマックスと、覚えていないマット。
このあたりでマックスの心の奥底がやや見えてきた。
明確に言葉にすることもできないような、ぼんやりとした想いを観ている側に抱かせる。

■ディープキス
歯を磨きまくってド緊張している二人がソファに横並び。
その前にこまっしゃくれの金持ち妹が指導している。
それを窓から覗いてワイワイしている友人に「どっかいけ!」と何かを投げつけるいらだったマット(笑)
うひゃ~コワイコワイ!みたいに声をあげながら逃げていく友人たち。
めっちゃリアルwww
情景としてもリアルだけどだからこそつらい。
何かつらいってこれが過去のように「ふざけた」「罰ゲーム」という色が濃いからだ。
マックスの心の奥底に触れた視聴者側からすれば、針のむしろ感がある。
そうして、キス。……見せんのかーーーい!!!!!
いや、だからこそいい。だからすごい。
見せないという判断をしたドランすごい。
見せないからこそ神聖で、見せないからこそ想像力が働いて、見せないからこそ気持ちにさらに近寄っていくことができる。
そして見せないからこそ後半のあのシーンが鮮明になる。
すごい。

■その翌朝
同じベッドを使用して寝ていた(たぶんこの数日同じ環境だった)マットとマックス。
下着姿で起き上がり、マックスに「おい寝てるのか」と声を掛けるが普通に「すぅー」という寝息が聞こえる。
マックス熟睡すぎてかわいい。
マット、起きあがって湖にいくといきなり泳ぎ始め、こっちは(
頭を冷やしに行ったかな)と思ったのもつかの間
どこかにたどり着き、その敷地の別荘にいたご婦人から「助けましょうか」みたいなんを言われ「○○邸(泊まってた金持ちの別荘)はどちらですか」と聞くと「あら!遠いわよ!」みたいなん言い返されて、また湖に飛び込み戻っていく。
いつの間にか遠泳になっとるやないかい!と、こっちが吹き出しそうだった。
どんだけ集中して、どんだけもやもやしてんだよwwww
遠くでバシャバシャやっている姿を唖然とした顔で観ているマックスとロン毛(笑)心の声(あいつ何やってんだ)が表情からダダ漏れで笑える。
やっと戻ってこれたマックスはふらふらで、そこに金持ちが複数のバスタオルで体を包んでやっている。
ほんまいい奴らだ……。
そして、このシーンはわかりやすいマットの動揺と変化だった。

■キスシーンについて
前日の夜にそれを撮影した二人なわけだが、そのことに言及するひとはその後誰もいなくなる。(妹の自主制作映画の評価としては別だが)
それは、あくまでもそのキスが自主制作映画のワンシーンだっただけということでもあり
友人たちにとってはいつもの戯れ言のふざけたことのなかの一つということの強調でもあるように感じた。
あのことで心が乱されたのは、本人たちマットとマックス以外に誰もいないのだ。
それだけ誰も気にもとめなかったことが変化のきっかけになったということを痛感する。

■マットの婚約者
綺麗で、いい子。友人たちとも仲が良く、当然マックスのことも大事に思ってくれている。

■マットの仕事の弁護士
あの人いきなり現れて特にしっちゃかめっちゃかにするでもなく、謎すぎへんか。
あの人もゲイだったみたいな展開は最低で嫌いなので(テヘヘ)そうでなかったことは
彼の存在全てを肯定できるほどに良かった。ただ、謎だ。
「婚約した」的なことを弁護士がマットに言ったり、やたらと女性を性的に評価するというシーンが多かったことから
彼はマットの中の「女性を愛する、愛するべき」という根幹を揺るがすために必要だったのは理解できる。
ただ、なんかわざわざ濃いキャラ付けて登場させないといけなかったかな?とか
キャラ濃い割にはサラッといなくなったな、とか。弁護士の仕事してるシーン一度も無かったなとか。
そもそもあの人本当に弁護士なのか?自分から名乗ってるシーン一度も無かったけど。っていうのが気になる奴でした。

■母親とマックス
アルコール中毒、ニコチン依存的なところが見え隠れする母親。
母親をなんとか愛したいと思うマックスを見ていると心が締め付けられる。
あと、親の介護から逃げている(?)弟。
でも逃げているからこそ母親の中には昔のいい子のままで存在していて、現実と立ち向かうマックスとは違って印象が良いものしかない。
母親からしてみれば自分を責めてくるマックスが憎くなればなるほど弟の印象は良くなっていき
さらにマックスが悪くなるという悪循環。
みんなの前では一緒にバカをやるマックスの現実が見えて本当につらい。
特に、母親の状態が良く、マックスの好物だったパスタを作ってマックスに振る舞ったとき。
マックスががっつくように食べていて、まるで子供だった。
夢中になって食べている姿もつらかったし、その会話の中で面白くもない(母親がよくわかっていない)弟の留守電の話を持ち出すのも胸が痛んだ。
二人が笑えるかもしれない共通の話題はそれくらいしかないのだ。
実際には、母親も理解できず笑いには昇華されなかった。それもつらい。
その後の展開は言わずもがな。
母親にたたかれ、唾を吐かれたマックスの絶望は筆舌に尽くしがたい。
マックスがなまりのある英語を使って、なんとか母親と離れるしかない現実。つらい。

■このへんからマットの視点が多くなる。
どちらかというとマックス視点だった前半から、キスによって翻弄され、自分の感情に苦悩するマット視点!
うおおぉぉお!←何

■おかねもちのどうらく
友人(金持ち)の家に、婚約者と一緒に呼ばれたマット。
行くと自分の母親ほか、おめかしした母親陣がめっちゃワイワイキャーキャーやっている。
なに見せられてんだwwwwという観客の気持ちを代弁する、マットと友人の表情(笑)
別行動して一人悶々と考え、リビングに行くとーースクリーンで例の自主制作映画が披露され終わるところだった。
愕然とするマット。母親たちは拍手をして「すばらしい」とかいろいろ言っているが、見られたのは自分とマックスのディープキスシーンだ。
友人も「あーあ」みたいな顔をしていてかわいい。
「なんだよ、こんなの」みたいに言うが、それは金持ち友人の妹が撮影したものなのであまり強くは言えない。
妹は得意げにいろいろ言っていてかわいい(笑)。
婚約者がやってきて「すばらしかったわ」とか言われるのを気まずそうにやりすごそうとする。
実はこのシーンでも、映画の「すばらしさ」に言及はされてもキスシーンに特に大きな注目があったわけでもない。

■マックス行ってらっしゃいパーティー
マットの家で、マックス行ってらっしゃいパーティー
最高のバカをやる連中と、マットの婚約者。そしてマットの母親が作った手料理を振る舞ってもらいワイワイやっている。
この、幼なじみ(マット)の母親からも我が子のように愛されてるのいいなぁ。
むしろあの人が母親だったらマックスはどれだけよかっただろうな。
一方でマットはあのキス以来マックスを意識してしまって、不自然なほど無視。
だから自分の実家でパーティーなんかされようもんならしんどいわけです。
仕事を理由にちんたら帰ってきて、少ししたら友人から「おいマットがスピーチしろ!」みたいにあおられて、無理矢理スピーチをさせられる。
「えっと……マックスがオーストラリアに行くことは、新しい角ででいいことだと思う」みたいな適当な感じを言っている。
新しい門出を祝う気など全く感じない。
むしろ行かせたくない、俺はおまえが行くことに納得してない、そんな気持ちがダダ漏れ
友人たちも「マット何それ」みたいな顔をしていていい雰囲気(笑)
言われたマックスは、少し寂しげな笑みをうかべて乾杯に応じるのだった。

■おんぼろ車にすしづめで大合唱
その帰り、路上に止めた車の中で友人(マット以外)がすし詰めになってラジオをかけ、大合唱と大騒ぎ。
完全にバカ。(もちろんいい意味で)

■マット、婚約者と口論
そしてその横を車で通りがかったマットと婚約者。運転する彼女も、彼らが大騒ぎしている歌を一緒に歌ってウェイウェイ感を出しているが
助手席のマットは苦笑いでやりすごす。そして通り過ぎ、帰路で喧嘩。
「何よあのスピーチ」
くそみてーなスピーチを聞いて、マットを送りながら婚約者ぶち切れです。かっこいい!

「友達は大事にしなさいよ」
「君を大事にするには、彼らと距離をとるしかない」
「はぁ?彼ら?マックスとじゃなくて?」
「あれはなんでもない!」
 婚約者は突然声を荒らげ始めたマットを不審そうに見る。
 気付かないマットは苦しげに、震える声で言い切った。
「あんなの、素人が撮った映画のただのキスシーンだ!それだけだろ!なんでそんなにこだわるんだよ!」

という具合に小説風に書いてみましたがこんな感じでした。
このあと婚約者が言い返してたか忘れたな。この一言が衝撃的すぎて。誰もこだわってないそこに固執してるのはマットだけだ。
でも婚約者がどん引きしてる(ショック受けてる)姿は見たな。
言葉少なく「どこで降ろしたらいいの」とか聞いて終わってた。
マットの中で、今まで無かった感情が芽生えてたことに気付いてる感。切なくてコワイ。

■マットの父親(離婚済み)の就職の斡旋
マックスは、マットの父親にオーストラリアでの就職を斡旋する紹介状を書いてもらいたいと頼んでいた。
「あの……紹介状まだ来てないか?」と聞くとのらりくらりと「まだ来てない。忙しい人だから」とか言われる。
ほんまに言ってんのかぁ?行かせたくないから適当言ってんじゃねーのかぁ?と見ている側は疑問に。

■なんかパーティー
友人の税金泥棒(笑)の家でパーティー
よくわからんゲームの説明を金持ちが仕切ってやってる。
なんかもうこいつに対して友人の気持ちがわいている自分。めっちゃわくわくしてくる。
しかも説明がけっこう丁寧で、一緒にやれそうな勢い(笑)。
みんなでソファに座り、ギャーワーやっているのをスローモーションとかで見せられてめっちゃ面白い、楽しい!
しかしその中にマットの姿はない。
ちなみに参加メンバーには、マックスが気になっている女子(もうほぼ付き合ってるしキスもしてる)もいる。
後からきたのか後から参加したのか忘れたけど、マットが参戦してくる。
マックスはもうほかの友人達と完全にデキアガっていてアヒャヒャと馬鹿笑い。そして、隣に座っていた金持ちに何かを耳打ちする。顔が近い。
その瞬間、じっとマックスを見つめているマットがアップに。
耳打ちして顔を離して笑いあい、そしてまたマックスが耳打ちする姿を見ていたマットが「おい、マックス!」と声を上げる。
雰囲気にそぐわない刺さるような大声で場に微妙な空気が流れるも、まだ大丈夫な感じ。
しかしマックスが続ける。
「おまえ、今金持ちに何言ったんだよ」
「は?」
「今おまえゲームの答え言ったろ」
「え?言ってないよ。何言ってんだ?」
「いや、言ってた」
頭ごなしに決めつけるマットに金持ちが「いやいや、マックスはそんなの言ってないぞ」と返すも
マットはすさまじい視線でマックスを見つめつづけ「俺はマックスに言ってんだ。おい、聞いてんのかマックス」とさらに責め立てる。
「ほんとに言ってないって」と面倒臭そうに言うマックスに苛立ち始めるマット。一気に悪くなる空気。止めようとする友人に「なんだよおまえらいいのか、不正を認めることになるんだぞ」
と言うマット。周囲のおい始まったよ、やめとけやめとけ感すごい。
シーンとする空気をぶちやぶりまくりのマット。「俺は不正を許さない」みたいなんを言いまくるため、友人たちは「つまんねーわ」とゲームを投げだし始める。
いたたまれない空気。何よりもいたたまれないのは、マットとマックスがまともにしゃべった久々のシーンだということ。
それでも止まらないマットの言葉に、友人のロン毛が切れて「いい加減にしろ」と詰め寄るとがちの喧嘩に!周りがワーワーと必死に止めるが、ロン毛がマットを絨毯に押し倒して上から殴る。
マックスが「やめろ!」と一緒に止めると、マットは一言「アザ野郎」みたいに言い捨てる。
ここまで忘れてた。マックスは顔にアザがあった。
友人達はそんなの気にせず普通に友達だし、普通に愛されてるし、アザがあったってなんの問題も無かった。
でもそのマットの一声で、マックスの顔にアザがあることが突然違和感のあることとして放られたわけだ。
黙り込む皆。立ち上がったロン毛が最後に蹴りを一発見舞う。
よくやったぞロン毛!!!!!!!!
……と思うほど、このあたりのマットはくそです。
でも、そんなマットの本当の良さを幼なじみのマックスは分かっているわけで。つらいなぁ。
友人の税金泥棒「喧嘩してもいいけど俺の家を壊すな!」は名言。

■みんな帰っちゃう
パーティーにやってきていた面々が帰り始める。
その中には、マックスと一緒にやってきた彼女もいる。
家の玄関前にいたマットが、ぼうっと部屋の中を眺めると、その女子がマックスに別れのキスをしているのを見る。
なんてことないワンシーン。それがどれほどマットに突き刺さっただろう。

■仲直り
しばらくして、冷静になったマット。
ロン毛に「悪かった」と謝罪。ロン毛もイケメン笑顔でぐっとハグ。めっちゃいいなぁ、友情いいなぁ。
こんなくそマットを見捨てない友人達本当に最高だなぁ。

■そして……
結構な人数が帰ってしまった。いつものメンバーはキッチンのテーブルでカードゲームに興じていて、居心地悪かったマットは参加させてもらおうとうろつくが
「おまえがいたら空気悪くなるんだよ、あっちいってろ」と無碍にされてすごすごとリビングへいく。
そこには薄暗い中、一人でポップコーンを食ってテレビを見ているマックスが。
少し離れたところに無言で座ってマックスを見つめるマット。
「なんだよ」とマックスが言っても何も言わない。むしゃむしゃとポップコーンをむさぼり食うマックス。
どちらも何も言わない中、空気に耐えられずふふっと笑うマックスはまたポップコーンをむさぼり始める。
いい空気感だ。緩くて切なくて、すごい緊張がある。
長くも短くもない絶妙な数分のあと、マックスは無言でポップコーンを置き立ち上がって居なくなってしまう。
やや逡巡してから、マットが立ち上がって進み始めた。

■到達
見てる側からしたらマットが何を考えてるのかいまいちわからない。
だから歩いてて何やろうとしてんのか分からんかったが、マックスが進んだらしき廊下を追うように歩いて、部屋のドアを開けて中を覗いては閉める。
あ、こいつマックス探しとんやな、と。
よっしゃわかった。そこで謝罪の一つでも口にしてやってくれや、と。
そんで元気に行ってこいという一言を言ってあげてくれや、と。
こっちはそう思うわけです。
それでも、なんというかマットの動きはすごく追い求めて探しているというよりも、まだ迷っている感じ。
きっとこのままマックスが見つからなければ見つからなかったでいいんだろう感すごい。
最後に、暗いアトリエみたいなところに行ったマットが電気をつけると、そこには窓際の収納棚の上に座って足をぶらぶらさせているマックスが。
このマックス、すげー少年感すごいんですよ(語彙)
ハーパンにTシャツ。んで、やや気まずそうにちらっとマットを見て視線を下げる。
すごい可愛い。だが戸惑いもすごい。

■ほんで
ぎこちなく近付くマット。マックスはうつむいたままだ。
座ったマックスの前に立ち、マットは視線を合わせることもできずにいる。
どちらも何も言わないもどかしい時間が過ぎて、先に動いたのはマットだ。
マックスの右手をそっと取って、ゆっくりと自分の口元へ持って行き、手の甲にキスをした。
そのまま視線を合わせて、おずおずとキスをしてからはもう、堰を切ったようにキスをしまくる。
唇に、頬に、首筋に。でもそれ以上ではない感じが初々しくていい。
マックスの手をガラス窓に押しつけ、キスをしまくるマット。
完全にタイタニック的既視感。あれいいよね。好きじゃ。
目を瞑ってそれを受け入れながら興奮していくマックス。
そんな二人をよそに、友人達は突然の大雨に気付いてわーっと庭に駆け出し、税金泥棒宅の洗濯物を必死に取り込んでいる。
(どうでもいいがこのとき、フランス人も洗濯物を外に干すんだなぁとしげしげと思った)
洗濯物を落としてもスローモーションで大爆笑。
洗濯物をひっぱって伸びててもスローモーションで大爆笑。
めっちゃいい。
そんな彼らとは対照的に、カメラがゆっくりとパンした先では、ガラス窓に押しつけられた手と、マックスの首にあるタトゥーが印象的に写り込む。
えっっろい。
彼らのキスシーン自体はそんなエロくはなくて、結構爽やかさのある感じなのにそれを演出する方法がエロい。
磨り硝子と、雨粒。二人の心にしみ入ったのは何なのだろうか。(上手くない)
普通にバカをやっている友人達が対比として描かれ非常に印象的。

■我に返るマット
二人の興奮が高まって、マックスのナニに触れるマット。
マックスも興奮しているので、マットのそれに触れるがちょっと止められ、マットは自分でナニを出そうとするがーー
このへんの描写すごい短く表現されてたからちゃんと分からなかったけど、たぶんマットはたってなかった。
だから「そんな、そんなことーー」みたいなんを言いながら後ずさりして、そのまま部屋を出ていってしまう。
呆然としているマックス。
見ているこっちは「おい!出たよまたマットのそれ!!」という気持ち。
マックスの方がよっぽど肝が据わっている。

■出発前日
まだ荷造りみたいなんしとんのかい。
遅くないかい。
そしてまたひよって疎遠になっとるマット。
しかもここからはマットではなくマックス視点にまた移っている。
おい!あいつを出せ!マックスの気持ちをかき乱しまくる責任とれよ!と思わずにはいられない。
マックスの荷造りとかを手伝ってくれたのは、意中の彼女とロン毛です!!
ロン毛まじいいやつ!!!

■マットの実家で知ったこと
マットの実家に行き、マットの母親から巨大な旅行鞄を借りるマックス。
何か言いたげなマックスに気付いて「あなたは今お水をほしがってる。一杯どう?」と水をすすめてくれた。
まるで母親のように優しく対応してくれるおばさんにマックスが遠慮がちに聞いた。
「あの……元旦那さんの連絡先を教えてもらえませんか」
「どうして?」
「マットに、僕のオーストラリアの紹介状を貰ってほしいと伝えてたんですが、まだ届かなくて」
「あら、そうなの?」
「忙しいのかもしれないんですけど」
みたいにフォローしているマックス。めっちゃ気を遣っている。
おばさんも何かを悟ったようで「連絡先ね。えーっと、えーっと」と探し始めてくれる。
そのとき、おばさんが開けっ放しにしていた引き出しにふと目がいき、何かを手に取る。
そこには子供のつたない農場の絵が書いてあり「マットとマックスの農場」というたどたどしい文字があった。
それを見て涙がこみ上げてくるマックス。
ここ、めちゃくちゃ切ない。なんていうか、自分たちの普遍的だと思っていた関係性がゆるゆると崩れている不安感。
今まで築き上げたものがたった一度のキスで壊れはじめて、それでも新たな関係性を確認するように激しいキスまでしたのに、それ以降なにも進んでない。
さらには紹介状もない。これから発つマックスには不安しかないだろう。
で、おばさんが戻ってきて連絡先をもらう。

■電話
がらんとした部屋に戻り、電話をかける。
アメリカの弁護士事務所になまりのある英語で一所懸命説明し、確認をしたところーー
「三週間前に出していますよ」みたいなんを言われる。
「え?僕は受け取っていません」
「そうですか?送っていますよ」
という感じのことを言われ、そこで始めてマットが届いた紹介状を隠していたことを知るマックス。
「彼はどうして、僕に紹介状を渡してくれないんでしょうか」
「それは、こちらではわかりません」
当然の返答。ありがとうを言って切ると、涙がどんどんあふれてくる。
なんていうか、ほんとマット土下座な!フローリングで土下座な!と、もう友人の一人の気持ちでいる自分は思うわけです!
このときの絶望すごいよな。
幼なじみで親友に、自分の未来(オーストラリア行き)を歓迎されていないことが露呈。
「お父さんに依頼をしてなかった」ほうがまだマシだった。実際にはきちんと届いたものを、意思を持って隠しているのだ。つらい!!!つらすぎる!!
うぐぐマットのくそ野郎!と思う自分!
(こういう展開、マットの病的な心理描写、大好物ですけど!!ありがとうマット!ありがとう!)

■出立
ロン毛が迎えにくると約束していたらしく、迎えにきたため
覚悟を決めて部屋を出たマックスの視線の先にはーー

もう、これ、ほんとマットやめろやと。もう翻弄するのやめてやれやと。
おまえの前のマックスは、もう何も知らない弱者ではなくて、おまえが紹介状隠してたことも知ってるマックスなんやぞと。
この後、どうなると思います??てめっちゃみんなに聞きたい(笑)
自分は、このあとのらりくらりとコミュニケーションを取ってこようとするマットから、マックスはやんわりと距離取ると思うんですよね。
そんでオーストラリアでがんばる話を聞いたりしながら、また普通の友人に戻っていく。
マットは婚約者と結婚し、マックスもオーストラリアで彼女ができて、でも別れてみたいになって、そのグチも友人達に言う。
そんな感じじゃないかなぁ。
でマットに子供ができて、あのときの感情は一時のものだったんだと過去を思い返せるようになってほしい。

同性愛の否定とか、異性愛がどうとか言ってんじゃなくて、マットが信用ならんという話ですよもう。
マックスを自由にさせてやるにはそれしかないんじゃないか??と思うわけです。


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総評;★★★★☆
とにかく友人のバカ描写が最高。
最高に自然で最高に楽しい!今までみた映画の中でトップですよこのノリ。
あと、登場人物基本的にみんな優しい。
いろんな痛みを抱えてはいるけどみんな優しい。

一方で、マットがずるずると陥る「マックスへの気持ちはなんなんだ?」という疑問と感情の揺らぎと嫉妬とか全部すごい。
ほんますごい。大好物。
とはいえ、これは正直ゲイの映画ではないと思う。
このへん言い始めたら難しいことになるかもしれんのですけど、自分が好きな「人間愛」的なところが大きいなぁと思います。
いいもんみたなぁ、とすごく思った。