下衆なマニヤの有神論

小説を書き続け(途中絶筆したが)十云年、自分の力が如何程のものか試したい。

【趣味】映画「マティアス&マキシム」

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鑑賞してきました。感想を言いたい。
相変わらずのネタバレ100%なのでお気をつけください。
会話などはうろ覚えでその雰囲気を表現するものなので、いいまわしが違うなどはお許しを。
あと展開も前後している可能性ありだけど許して。
そして毎度のことながら名前をほとんどおぼえてない。






■最高の悪ガキ友達
主人公の二人がどうとかよりも(暴言)、それをしのぐ友人たちが素晴らしい!
ロン毛、金持ち、普通、貧乏(頑張ってる)、ちゃんとしてる、公務員(と思われる)
ハッパ吸いつつ大騒ぎ、別荘前の湖におもむろに飛び込んで昔話、食事をしながらゲーム。
いい男たち(見た目もトシも)が童心に帰って最高にわいわいやっている姿が最高に楽しい。
ずっと見ていられるバカ。友情が深いからこそ「おまえはそうやっていつも言葉に突っ込んでくるな」「突っ込んでないよ」「突っ込んでるだろ、知ってるぞ」
とやりはじめればみんながワイワイ「いやあのときだって」と話し始める。一歩間違えれば喧嘩になりそうなところだが危うさが無い。
何やってても楽しい友達たち。そして皆を大事に思うその懐の深さと優しさにあふれている。
ずっと見てられる!

■金持ち友人の妹
こまっしゃくれ(笑)の妹。英語を使うと「くそったれ英語なんか使うな!」みたいに兄に怒られている。かわいい。
それでも妹は負けない。
まるで小学生の兄に付いてまわりをうろうろする妹のようだ。
そんな妹のこともみんなで見守ってきたのだろう。おとこたちは妹が「映画を撮ってる」と言ってきたことに「勝手にやっとけよ!」という反応をしていてかわいい。
しかし問題がおこる。出演をするはずの二名がやってきていない。そこで、優しいマキシムは「いいよ」と出演に同意したことで運命がかわる。

■妹の自主制作映画
本当にすごいのかどうかがわからん。だって親とその周囲が「すごいすごい」ともてはやしているだけだ。
でもマットとマックスの運命を変えたことを考えると絶対すごい。

■マットの出演とキス
先述したくだらない友人とのノリの賭けで負けたマットは出演しないといけなくなり、役を聞くと「マックスとディープキスをする」役だと判明。
「ふざけんな、いやだ!」とくっそ抵抗して怒るマット。そりゃそうだ。と理解していたところに、意外にも諦めムードで受け入れているマックス。
さらには「覚えて無いのか?昔キスしたことがある」「ない!」というやりとり。友人たちも覚えていて「してたろ!」という突っ込みも。
二人でひっそりというよりかなりオープンにやらかしたキスらしい。その時点で、きっと今回のように罰ゲーム的なノリがあったはずだ。
それを覚えているマックスと、覚えていないマット。
このあたりでマックスの心の奥底がやや見えてきた。
明確に言葉にすることもできないような、ぼんやりとした想いを観ている側に抱かせる。

■ディープキス
歯を磨きまくってド緊張している二人がソファに横並び。
その前にこまっしゃくれの金持ち妹が指導している。
それを窓から覗いてワイワイしている友人に「どっかいけ!」と何かを投げつけるいらだったマット(笑)
うひゃ~コワイコワイ!みたいに声をあげながら逃げていく友人たち。
めっちゃリアルwww
情景としてもリアルだけどだからこそつらい。
何かつらいってこれが過去のように「ふざけた」「罰ゲーム」という色が濃いからだ。
マックスの心の奥底に触れた視聴者側からすれば、針のむしろ感がある。
そうして、キス。……見せんのかーーーい!!!!!
いや、だからこそいい。だからすごい。
見せないという判断をしたドランすごい。
見せないからこそ神聖で、見せないからこそ想像力が働いて、見せないからこそ気持ちにさらに近寄っていくことができる。
そして見せないからこそ後半のあのシーンが鮮明になる。
すごい。

■その翌朝
同じベッドを使用して寝ていた(たぶんこの数日同じ環境だった)マットとマックス。
下着姿で起き上がり、マックスに「おい寝てるのか」と声を掛けるが普通に「すぅー」という寝息が聞こえる。
マックス熟睡すぎてかわいい。
マット、起きあがって湖にいくといきなり泳ぎ始め、こっちは(
頭を冷やしに行ったかな)と思ったのもつかの間
どこかにたどり着き、その敷地の別荘にいたご婦人から「助けましょうか」みたいなんを言われ「○○邸(泊まってた金持ちの別荘)はどちらですか」と聞くと「あら!遠いわよ!」みたいなん言い返されて、また湖に飛び込み戻っていく。
いつの間にか遠泳になっとるやないかい!と、こっちが吹き出しそうだった。
どんだけ集中して、どんだけもやもやしてんだよwwww
遠くでバシャバシャやっている姿を唖然とした顔で観ているマックスとロン毛(笑)心の声(あいつ何やってんだ)が表情からダダ漏れで笑える。
やっと戻ってこれたマックスはふらふらで、そこに金持ちが複数のバスタオルで体を包んでやっている。
ほんまいい奴らだ……。
そして、このシーンはわかりやすいマットの動揺と変化だった。

■キスシーンについて
前日の夜にそれを撮影した二人なわけだが、そのことに言及するひとはその後誰もいなくなる。(妹の自主制作映画の評価としては別だが)
それは、あくまでもそのキスが自主制作映画のワンシーンだっただけということでもあり
友人たちにとってはいつもの戯れ言のふざけたことのなかの一つということの強調でもあるように感じた。
あのことで心が乱されたのは、本人たちマットとマックス以外に誰もいないのだ。
それだけ誰も気にもとめなかったことが変化のきっかけになったということを痛感する。

■マットの婚約者
綺麗で、いい子。友人たちとも仲が良く、当然マックスのことも大事に思ってくれている。

■マットの仕事の弁護士
あの人いきなり現れて特にしっちゃかめっちゃかにするでもなく、謎すぎへんか。
あの人もゲイだったみたいな展開は最低で嫌いなので(テヘヘ)そうでなかったことは
彼の存在全てを肯定できるほどに良かった。ただ、謎だ。
「婚約した」的なことを弁護士がマットに言ったり、やたらと女性を性的に評価するというシーンが多かったことから
彼はマットの中の「女性を愛する、愛するべき」という根幹を揺るがすために必要だったのは理解できる。
ただ、なんかわざわざ濃いキャラ付けて登場させないといけなかったかな?とか
キャラ濃い割にはサラッといなくなったな、とか。弁護士の仕事してるシーン一度も無かったなとか。
そもそもあの人本当に弁護士なのか?自分から名乗ってるシーン一度も無かったけど。っていうのが気になる奴でした。

■母親とマックス
アルコール中毒、ニコチン依存的なところが見え隠れする母親。
母親をなんとか愛したいと思うマックスを見ていると心が締め付けられる。
あと、親の介護から逃げている(?)弟。
でも逃げているからこそ母親の中には昔のいい子のままで存在していて、現実と立ち向かうマックスとは違って印象が良いものしかない。
母親からしてみれば自分を責めてくるマックスが憎くなればなるほど弟の印象は良くなっていき
さらにマックスが悪くなるという悪循環。
みんなの前では一緒にバカをやるマックスの現実が見えて本当につらい。
特に、母親の状態が良く、マックスの好物だったパスタを作ってマックスに振る舞ったとき。
マックスががっつくように食べていて、まるで子供だった。
夢中になって食べている姿もつらかったし、その会話の中で面白くもない(母親がよくわかっていない)弟の留守電の話を持ち出すのも胸が痛んだ。
二人が笑えるかもしれない共通の話題はそれくらいしかないのだ。
実際には、母親も理解できず笑いには昇華されなかった。それもつらい。
その後の展開は言わずもがな。
母親にたたかれ、唾を吐かれたマックスの絶望は筆舌に尽くしがたい。
マックスがなまりのある英語を使って、なんとか母親と離れるしかない現実。つらい。

■このへんからマットの視点が多くなる。
どちらかというとマックス視点だった前半から、キスによって翻弄され、自分の感情に苦悩するマット視点!
うおおぉぉお!←何

■おかねもちのどうらく
友人(金持ち)の家に、婚約者と一緒に呼ばれたマット。
行くと自分の母親ほか、おめかしした母親陣がめっちゃワイワイキャーキャーやっている。
なに見せられてんだwwwwという観客の気持ちを代弁する、マットと友人の表情(笑)
別行動して一人悶々と考え、リビングに行くとーースクリーンで例の自主制作映画が披露され終わるところだった。
愕然とするマット。母親たちは拍手をして「すばらしい」とかいろいろ言っているが、見られたのは自分とマックスのディープキスシーンだ。
友人も「あーあ」みたいな顔をしていてかわいい。
「なんだよ、こんなの」みたいに言うが、それは金持ち友人の妹が撮影したものなのであまり強くは言えない。
妹は得意げにいろいろ言っていてかわいい(笑)。
婚約者がやってきて「すばらしかったわ」とか言われるのを気まずそうにやりすごそうとする。
実はこのシーンでも、映画の「すばらしさ」に言及はされてもキスシーンに特に大きな注目があったわけでもない。

■マックス行ってらっしゃいパーティー
マットの家で、マックス行ってらっしゃいパーティー
最高のバカをやる連中と、マットの婚約者。そしてマットの母親が作った手料理を振る舞ってもらいワイワイやっている。
この、幼なじみ(マット)の母親からも我が子のように愛されてるのいいなぁ。
むしろあの人が母親だったらマックスはどれだけよかっただろうな。
一方でマットはあのキス以来マックスを意識してしまって、不自然なほど無視。
だから自分の実家でパーティーなんかされようもんならしんどいわけです。
仕事を理由にちんたら帰ってきて、少ししたら友人から「おいマットがスピーチしろ!」みたいにあおられて、無理矢理スピーチをさせられる。
「えっと……マックスがオーストラリアに行くことは、新しい角ででいいことだと思う」みたいな適当な感じを言っている。
新しい門出を祝う気など全く感じない。
むしろ行かせたくない、俺はおまえが行くことに納得してない、そんな気持ちがダダ漏れ
友人たちも「マット何それ」みたいな顔をしていていい雰囲気(笑)
言われたマックスは、少し寂しげな笑みをうかべて乾杯に応じるのだった。

■おんぼろ車にすしづめで大合唱
その帰り、路上に止めた車の中で友人(マット以外)がすし詰めになってラジオをかけ、大合唱と大騒ぎ。
完全にバカ。(もちろんいい意味で)

■マット、婚約者と口論
そしてその横を車で通りがかったマットと婚約者。運転する彼女も、彼らが大騒ぎしている歌を一緒に歌ってウェイウェイ感を出しているが
助手席のマットは苦笑いでやりすごす。そして通り過ぎ、帰路で喧嘩。
「何よあのスピーチ」
くそみてーなスピーチを聞いて、マットを送りながら婚約者ぶち切れです。かっこいい!

「友達は大事にしなさいよ」
「君を大事にするには、彼らと距離をとるしかない」
「はぁ?彼ら?マックスとじゃなくて?」
「あれはなんでもない!」
 婚約者は突然声を荒らげ始めたマットを不審そうに見る。
 気付かないマットは苦しげに、震える声で言い切った。
「あんなの、素人が撮った映画のただのキスシーンだ!それだけだろ!なんでそんなにこだわるんだよ!」

という具合に小説風に書いてみましたがこんな感じでした。
このあと婚約者が言い返してたか忘れたな。この一言が衝撃的すぎて。誰もこだわってないそこに固執してるのはマットだけだ。
でも婚約者がどん引きしてる(ショック受けてる)姿は見たな。
言葉少なく「どこで降ろしたらいいの」とか聞いて終わってた。
マットの中で、今まで無かった感情が芽生えてたことに気付いてる感。切なくてコワイ。

■マットの父親(離婚済み)の就職の斡旋
マックスは、マットの父親にオーストラリアでの就職を斡旋する紹介状を書いてもらいたいと頼んでいた。
「あの……紹介状まだ来てないか?」と聞くとのらりくらりと「まだ来てない。忙しい人だから」とか言われる。
ほんまに言ってんのかぁ?行かせたくないから適当言ってんじゃねーのかぁ?と見ている側は疑問に。

■なんかパーティー
友人の税金泥棒(笑)の家でパーティー
よくわからんゲームの説明を金持ちが仕切ってやってる。
なんかもうこいつに対して友人の気持ちがわいている自分。めっちゃわくわくしてくる。
しかも説明がけっこう丁寧で、一緒にやれそうな勢い(笑)。
みんなでソファに座り、ギャーワーやっているのをスローモーションとかで見せられてめっちゃ面白い、楽しい!
しかしその中にマットの姿はない。
ちなみに参加メンバーには、マックスが気になっている女子(もうほぼ付き合ってるしキスもしてる)もいる。
後からきたのか後から参加したのか忘れたけど、マットが参戦してくる。
マックスはもうほかの友人達と完全にデキアガっていてアヒャヒャと馬鹿笑い。そして、隣に座っていた金持ちに何かを耳打ちする。顔が近い。
その瞬間、じっとマックスを見つめているマットがアップに。
耳打ちして顔を離して笑いあい、そしてまたマックスが耳打ちする姿を見ていたマットが「おい、マックス!」と声を上げる。
雰囲気にそぐわない刺さるような大声で場に微妙な空気が流れるも、まだ大丈夫な感じ。
しかしマックスが続ける。
「おまえ、今金持ちに何言ったんだよ」
「は?」
「今おまえゲームの答え言ったろ」
「え?言ってないよ。何言ってんだ?」
「いや、言ってた」
頭ごなしに決めつけるマットに金持ちが「いやいや、マックスはそんなの言ってないぞ」と返すも
マットはすさまじい視線でマックスを見つめつづけ「俺はマックスに言ってんだ。おい、聞いてんのかマックス」とさらに責め立てる。
「ほんとに言ってないって」と面倒臭そうに言うマックスに苛立ち始めるマット。一気に悪くなる空気。止めようとする友人に「なんだよおまえらいいのか、不正を認めることになるんだぞ」
と言うマット。周囲のおい始まったよ、やめとけやめとけ感すごい。
シーンとする空気をぶちやぶりまくりのマット。「俺は不正を許さない」みたいなんを言いまくるため、友人たちは「つまんねーわ」とゲームを投げだし始める。
いたたまれない空気。何よりもいたたまれないのは、マットとマックスがまともにしゃべった久々のシーンだということ。
それでも止まらないマットの言葉に、友人のロン毛が切れて「いい加減にしろ」と詰め寄るとがちの喧嘩に!周りがワーワーと必死に止めるが、ロン毛がマットを絨毯に押し倒して上から殴る。
マックスが「やめろ!」と一緒に止めると、マットは一言「アザ野郎」みたいに言い捨てる。
ここまで忘れてた。マックスは顔にアザがあった。
友人達はそんなの気にせず普通に友達だし、普通に愛されてるし、アザがあったってなんの問題も無かった。
でもそのマットの一声で、マックスの顔にアザがあることが突然違和感のあることとして放られたわけだ。
黙り込む皆。立ち上がったロン毛が最後に蹴りを一発見舞う。
よくやったぞロン毛!!!!!!!!
……と思うほど、このあたりのマットはくそです。
でも、そんなマットの本当の良さを幼なじみのマックスは分かっているわけで。つらいなぁ。
友人の税金泥棒「喧嘩してもいいけど俺の家を壊すな!」は名言。

■みんな帰っちゃう
パーティーにやってきていた面々が帰り始める。
その中には、マックスと一緒にやってきた彼女もいる。
家の玄関前にいたマットが、ぼうっと部屋の中を眺めると、その女子がマックスに別れのキスをしているのを見る。
なんてことないワンシーン。それがどれほどマットに突き刺さっただろう。

■仲直り
しばらくして、冷静になったマット。
ロン毛に「悪かった」と謝罪。ロン毛もイケメン笑顔でぐっとハグ。めっちゃいいなぁ、友情いいなぁ。
こんなくそマットを見捨てない友人達本当に最高だなぁ。

■そして……
結構な人数が帰ってしまった。いつものメンバーはキッチンのテーブルでカードゲームに興じていて、居心地悪かったマットは参加させてもらおうとうろつくが
「おまえがいたら空気悪くなるんだよ、あっちいってろ」と無碍にされてすごすごとリビングへいく。
そこには薄暗い中、一人でポップコーンを食ってテレビを見ているマックスが。
少し離れたところに無言で座ってマックスを見つめるマット。
「なんだよ」とマックスが言っても何も言わない。むしゃむしゃとポップコーンをむさぼり食うマックス。
どちらも何も言わない中、空気に耐えられずふふっと笑うマックスはまたポップコーンをむさぼり始める。
いい空気感だ。緩くて切なくて、すごい緊張がある。
長くも短くもない絶妙な数分のあと、マックスは無言でポップコーンを置き立ち上がって居なくなってしまう。
やや逡巡してから、マットが立ち上がって進み始めた。

■到達
見てる側からしたらマットが何を考えてるのかいまいちわからない。
だから歩いてて何やろうとしてんのか分からんかったが、マックスが進んだらしき廊下を追うように歩いて、部屋のドアを開けて中を覗いては閉める。
あ、こいつマックス探しとんやな、と。
よっしゃわかった。そこで謝罪の一つでも口にしてやってくれや、と。
そんで元気に行ってこいという一言を言ってあげてくれや、と。
こっちはそう思うわけです。
それでも、なんというかマットの動きはすごく追い求めて探しているというよりも、まだ迷っている感じ。
きっとこのままマックスが見つからなければ見つからなかったでいいんだろう感すごい。
最後に、暗いアトリエみたいなところに行ったマットが電気をつけると、そこには窓際の収納棚の上に座って足をぶらぶらさせているマックスが。
このマックス、すげー少年感すごいんですよ(語彙)
ハーパンにTシャツ。んで、やや気まずそうにちらっとマットを見て視線を下げる。
すごい可愛い。だが戸惑いもすごい。

■ほんで
ぎこちなく近付くマット。マックスはうつむいたままだ。
座ったマックスの前に立ち、マットは視線を合わせることもできずにいる。
どちらも何も言わないもどかしい時間が過ぎて、先に動いたのはマットだ。
マックスの右手をそっと取って、ゆっくりと自分の口元へ持って行き、手の甲にキスをした。
そのまま視線を合わせて、おずおずとキスをしてからはもう、堰を切ったようにキスをしまくる。
唇に、頬に、首筋に。でもそれ以上ではない感じが初々しくていい。
マックスの手をガラス窓に押しつけ、キスをしまくるマット。
完全にタイタニック的既視感。あれいいよね。好きじゃ。
目を瞑ってそれを受け入れながら興奮していくマックス。
そんな二人をよそに、友人達は突然の大雨に気付いてわーっと庭に駆け出し、税金泥棒宅の洗濯物を必死に取り込んでいる。
(どうでもいいがこのとき、フランス人も洗濯物を外に干すんだなぁとしげしげと思った)
洗濯物を落としてもスローモーションで大爆笑。
洗濯物をひっぱって伸びててもスローモーションで大爆笑。
めっちゃいい。
そんな彼らとは対照的に、カメラがゆっくりとパンした先では、ガラス窓に押しつけられた手と、マックスの首にあるタトゥーが印象的に写り込む。
えっっろい。
彼らのキスシーン自体はそんなエロくはなくて、結構爽やかさのある感じなのにそれを演出する方法がエロい。
磨り硝子と、雨粒。二人の心にしみ入ったのは何なのだろうか。(上手くない)
普通にバカをやっている友人達が対比として描かれ非常に印象的。

■我に返るマット
二人の興奮が高まって、マックスのナニに触れるマット。
マックスも興奮しているので、マットのそれに触れるがちょっと止められ、マットは自分でナニを出そうとするがーー
このへんの描写すごい短く表現されてたからちゃんと分からなかったけど、たぶんマットはたってなかった。
だから「そんな、そんなことーー」みたいなんを言いながら後ずさりして、そのまま部屋を出ていってしまう。
呆然としているマックス。
見ているこっちは「おい!出たよまたマットのそれ!!」という気持ち。
マックスの方がよっぽど肝が据わっている。

■出発前日
まだ荷造りみたいなんしとんのかい。
遅くないかい。
そしてまたひよって疎遠になっとるマット。
しかもここからはマットではなくマックス視点にまた移っている。
おい!あいつを出せ!マックスの気持ちをかき乱しまくる責任とれよ!と思わずにはいられない。
マックスの荷造りとかを手伝ってくれたのは、意中の彼女とロン毛です!!
ロン毛まじいいやつ!!!

■マットの実家で知ったこと
マットの実家に行き、マットの母親から巨大な旅行鞄を借りるマックス。
何か言いたげなマックスに気付いて「あなたは今お水をほしがってる。一杯どう?」と水をすすめてくれた。
まるで母親のように優しく対応してくれるおばさんにマックスが遠慮がちに聞いた。
「あの……元旦那さんの連絡先を教えてもらえませんか」
「どうして?」
「マットに、僕のオーストラリアの紹介状を貰ってほしいと伝えてたんですが、まだ届かなくて」
「あら、そうなの?」
「忙しいのかもしれないんですけど」
みたいにフォローしているマックス。めっちゃ気を遣っている。
おばさんも何かを悟ったようで「連絡先ね。えーっと、えーっと」と探し始めてくれる。
そのとき、おばさんが開けっ放しにしていた引き出しにふと目がいき、何かを手に取る。
そこには子供のつたない農場の絵が書いてあり「マットとマックスの農場」というたどたどしい文字があった。
それを見て涙がこみ上げてくるマックス。
ここ、めちゃくちゃ切ない。なんていうか、自分たちの普遍的だと思っていた関係性がゆるゆると崩れている不安感。
今まで築き上げたものがたった一度のキスで壊れはじめて、それでも新たな関係性を確認するように激しいキスまでしたのに、それ以降なにも進んでない。
さらには紹介状もない。これから発つマックスには不安しかないだろう。
で、おばさんが戻ってきて連絡先をもらう。

■電話
がらんとした部屋に戻り、電話をかける。
アメリカの弁護士事務所になまりのある英語で一所懸命説明し、確認をしたところーー
「三週間前に出していますよ」みたいなんを言われる。
「え?僕は受け取っていません」
「そうですか?送っていますよ」
という感じのことを言われ、そこで始めてマットが届いた紹介状を隠していたことを知るマックス。
「彼はどうして、僕に紹介状を渡してくれないんでしょうか」
「それは、こちらではわかりません」
当然の返答。ありがとうを言って切ると、涙がどんどんあふれてくる。
なんていうか、ほんとマット土下座な!フローリングで土下座な!と、もう友人の一人の気持ちでいる自分は思うわけです!
このときの絶望すごいよな。
幼なじみで親友に、自分の未来(オーストラリア行き)を歓迎されていないことが露呈。
「お父さんに依頼をしてなかった」ほうがまだマシだった。実際にはきちんと届いたものを、意思を持って隠しているのだ。つらい!!!つらすぎる!!
うぐぐマットのくそ野郎!と思う自分!
(こういう展開、マットの病的な心理描写、大好物ですけど!!ありがとうマット!ありがとう!)

■出立
ロン毛が迎えにくると約束していたらしく、迎えにきたため
覚悟を決めて部屋を出たマックスの視線の先にはーー

もう、これ、ほんとマットやめろやと。もう翻弄するのやめてやれやと。
おまえの前のマックスは、もう何も知らない弱者ではなくて、おまえが紹介状隠してたことも知ってるマックスなんやぞと。
この後、どうなると思います??てめっちゃみんなに聞きたい(笑)
自分は、このあとのらりくらりとコミュニケーションを取ってこようとするマットから、マックスはやんわりと距離取ると思うんですよね。
そんでオーストラリアでがんばる話を聞いたりしながら、また普通の友人に戻っていく。
マットは婚約者と結婚し、マックスもオーストラリアで彼女ができて、でも別れてみたいになって、そのグチも友人達に言う。
そんな感じじゃないかなぁ。
でマットに子供ができて、あのときの感情は一時のものだったんだと過去を思い返せるようになってほしい。

同性愛の否定とか、異性愛がどうとか言ってんじゃなくて、マットが信用ならんという話ですよもう。
マックスを自由にさせてやるにはそれしかないんじゃないか??と思うわけです。


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総評;★★★★☆
とにかく友人のバカ描写が最高。
最高に自然で最高に楽しい!今までみた映画の中でトップですよこのノリ。
あと、登場人物基本的にみんな優しい。
いろんな痛みを抱えてはいるけどみんな優しい。

一方で、マットがずるずると陥る「マックスへの気持ちはなんなんだ?」という疑問と感情の揺らぎと嫉妬とか全部すごい。
ほんますごい。大好物。
とはいえ、これは正直ゲイの映画ではないと思う。
このへん言い始めたら難しいことになるかもしれんのですけど、自分が好きな「人間愛」的なところが大きいなぁと思います。
いいもんみたなぁ、とすごく思った。

【趣味】映画「2分の1の魔法」鑑賞

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ディズニー映画が3度の飯くらい大好き!でおなじみ、自分が見てきました。
ピクサープレゼンツ「2分の1の魔法」。
正直、ピクサーがあまり刺さらないか刺さりすぎて痛いのどっちかに振れ幅がある自分はやや心配。

では、いつも通りネタバレありで感想をいいたい。
そしてかなり辛口です。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

■開始3分で納得いかない部分が目につき始める
大人の男性の独白で「昔世界は魔法にあふれていた」みたいなのが始まるんだが
その内容は「昔世界には様々な種族がおり、中には魔法が使えるエルフもいたが、便利さを求めるため魔法を捨ててしまった」というものだ。
実はこの書き方ならまだましだ。
映画の中では「魔法を使うのは大変だから、人々は楽な道を選んだ」とはっきり言っている。
ここで自分は納得できずにたぶん心を閉ざした感ある。

はっきり言おう。選ばれた人しか使えない魔法が廃れた理由を文明の発達のせいにするのは間違ってる。
文明が発達したのは、そういった「普通の人」が魔法を使える人なみに便利なものを求めたからで、別にそのせいで廃れたのではない。
廃れたのは「選ばれし魔法を使える人」が魔法を放棄したからだ。
そ文明の発達を喜びとする人々をまるで「悪いこと」のように描こうとする視線にイヤらしさを感じた。

■主人公
ややへたれの主人公。
なんていうか、自己表現が下手な子っているよなぁとやや分かる気がした。
声優がへたで集中できず。

■母親
キャラはお母さんぽいイメージ。(後述あり)
声優がへたで集中できず。

■兄
初っぱなからウザすぎていらだって仕方なかった。
冒頭すぐから怒濤のうざさ。
主人公が着ていた父親の遺品であるトレーナーがひっかかって少しやぶけたのを「ひっぱれば取れる!」と言い切っていきなり引っ張り案の定ぼろぼろになる。
このあたりで「あ、この兄貴はちょっと障がいがあるかな?」と認識。(後述あり)
声優がうまくてやたら美声。

■父の同窓生のおじさん
亡くなった父親を知るおじさんと出会う主人公。(むこうから話しかけてくる)
「君のお父さんは・・・」といろいろ教えてくれるが、はなしている途中で自分の子供に呼ばれて去ってしまう。
ありえなくね?普通さ、父親を亡くして悲しんでて「父はどんな人でしたか」と聞いてくる子供に対して
自分がいいたいことだけササッと言って終わらないだろ。だっておじさんは自分から「もしかして、○○の子供?」と聞いてるのだ。
だったら、その子供を残して亡くなってしまった父親の気持ちも分かっているのではないか?
なのに、とっとといなくなる。マジか・・・・。
普通電話番号渡したりしないんか・・・・?後からでも、たくさん話してやるとかすればいいのに・・・。とめちゃくちゃモヤモヤした。
これ、おじさんがめっちゃ急いでる時とか、誰かにものすごい急かされてるとかなら分かるけど、普通にいすに座って喋ってるからな。

■話を聞かないやつばっかでほんっとしんどい
これさ、自分が歳食ったからかもしれんのですけど(笑)、本当話を聞かない奴らばかりでめちゃくちゃしんどかった。
主人公が話をしている間に遮って何か言う、はなしている最中に自分の世界に入って止められるまでしゃべり続ける、そんな繰り返しばっかり。
たぶんそういったやりとりで難しい設定を説明していかないといけないんだろうけど、聞いてるだけでうんざりだった。

■父ちゃんの話がでると泣いちゃう
主人公がカセットテープの父ちゃんと会話するところでぼろぼろ泣いてもうた・・・
もうさ、だめだよ。そういうのあかんて。

■父ちゃん
パンパンに服が詰まった上半身がどうやって自立しているのか気になってしゃーなかった。

■サンダジア?諦め早くね?
そのせいで車が死んだ

■母ちゃんの彼氏
話聞かない系でしんどい

■母ちゃんと伝説のライオンみたいなやつ
ペアにして笑いを取ろうとしてるのかもしれんけどしんどい

■石が地元だと判明して
なかなかのテンション高いところからの落差!めっちゃよかった!
でもそこでぶち切れる主人公。え?え?マジで言ってんの?
だって古い地図に基づいてやってきたわけで、その先がどうなってるかなんて分からなかったわけだろ?
なんで兄貴にぶち切れられるのかぜんぜんわからん。
これ、テンション下がってもなんとか無理矢理鼓舞して記されたその場所に行ったけどなんかめっちゃ崩壊した建物とか校長室の地下とか
普通に入れなかったり見るからに崩壊してたりで呆然としてからの諦めと激怒とかの方がよかったのでは?
なんで地元に戻ったからってぶち切れたのかぜんぜんわかんないんだよなぁ。

■兄貴のカンのよさ
最後の最後ですごい兄ちゃんらしくなっていくなぁ。かっこいい!

■母ちゃんが勇者?
なにそれ。もっとにおわせとけば面白かったのに、突然感(予想はしてたけど)すごい。

■兄の吐露
「弱ってしまった父親と話をするのが怖くて、病室から逃げ出してしまった」
という兄の言葉がめちゃくちゃ胸に来る。そうなんだよな、分かる。めっちゃわかる。
現実から目を背けたら、それは現実じゃなかたように思える。
でも本当はそれは「目を背けてるだけ」なんだよな。なんの解決にもなってない。
でもなー、わかるよめっちゃ怖いんよな。うん。
主人公格のキャラで、こんなに生々しい弱さを見せたキャラクター初めてかもしれない。
くそ泣いてもうた。

■復活する父
兄を父親に寄り添わせ、記憶にない父親の姿をせめて見ようと必死に背伸びしている主人公。
優しすぎるし、思いやりに溢れている。
ちらりとでも見られればいいのに、見れなかった…悲しすぎる。
でもその後あった兄は清々しいほどの顔をしていた。先述した兄の苦悩が昇華されたのがわかる。

■その後
皆の前で魔法を披露する主人公。
なんか人気者っぽい感じになっている。


***************************************
総評;もやもやする。
★★☆☆☆ ほし、2.9!

流石のピクサーで涙も出たけど、主人公の成長やなにやらで感動というのではなく
その時の気持ちに共感して泣いているのであって、ぜんた全体的な話で心を揺り動かされることはなかった。
いわゆる「なろう系」?なのかな、と感じたのが「主人公が自己主張が苦手、自信がない、友人付き合いも苦手」なところから「選ばれし者」と発覚し、兄と旅に出る。
というところ。
しかし、その「自己主張が苦手」「自信がない」ということが旅の中で自信にも変わり自己主張ができるように・・・・と思いがちだが
自信が出てきたり主張したりするのが結構突然。突然自信が出るのに次には「僕には無理だ!」を繰り返す。
ええかげんにせぇや、と思わずにはいられない。

とにかくバタバタしているばかりで集中はできなかったこと、全体的に声優が結構ヘタクソだったこと、主人公やその周囲の感情変化に没入できなかった。
とにかくキャラクターの一方的な会話が多く疲れてしんどい。しんどい。

【趣味】映画「人数の町」鑑賞

見てきました。

一応前回のプロメアからいくつか映画を見てきましたが(ジョーンの秘密、他単館系で3本見たけどタイトル完全に忘れた)

コメントを書くまでのテンションにならず放置していました。

久々に書きたい作品があったので書きます。

 

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画像が大きなものが見つからなかったので諦めました。公式HPへどうぞ。

映画『人数の町』公式サイト

 

中村倫也主演人数の町

 

 

 

 

 

 

毎度のことながら遠慮なくネタバレありで感想を言います。

見たくない方はスクロールしないでください。

なお、今回はかなり厳しく色々言っていますので、めちゃくちゃファンの人も見ないでください。

ちなみに主人公の名前を忘れているので一旦「中村」と表記していたのですが長文になりすぎたので最後まで中村で通させていただきました。中村倫也さんすいません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※正「出るのも入るのも自由だがない離れられない町とは?」

誤「出るのも入るのも自由だが逃げられない町とは?」

修正いたしました。

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■ 全体の設定がすごくいい
そもそものうたい文句「出るのも入るのも自由だがない離れられない町とは?」というものが非常に興味を引く。
この謳い文句だけでこの街が人数に関することで何やらきな臭さを感じさせる。

■予告を見ても非常に期待度が高い
無気力な感じの主人公が清潔そうな街で生活を始めている。ただそこには何かしらのいわくがあるようだ。
主人公がその環境に違和感を覚え抵抗していくのが予想されとても面白そうだと思った。

中村倫也頼み
アラジンの件があったせいで自分は中村倫也が好きじゃない。
それを直接映画の評価にするにはとても乱暴だと思うからそういったことはしたくないが、 この映画にはそこはかとなく中村倫也ありきでの部分が感じられる。
全部通してみての感想だが中村倫也さんはドラマなどよりも舞台の方がドラマなどよりも舞台の方が映える俳優な気がする。
声も通るしいいし、ぼそぼそ喋るようなドラマの演技よりも舞台でしっかり発声した方が魅力が出るのでは?

■ 脇を固める俳優陣
どこかで見たけれども有名ではないというイメージの俳優さんが多々出ていた気がする。いわゆる「名わき役」。
特に印象に残っているのはポール役山中聡さん、紅子役石橋静河さんのお二人だ。
ポール役の山中さんは優しさとその裏にある胡散臭さがとても良かったとてもとても良かった(大事なことなので2度言いました)。
紅子役石橋さんは身近な美しさそして聡明さを感じさせる演技だった。更にその中でも弱さを感じさせる部分があり、守ってあげたくなるような女性を嫌味なく演じておられたと感じる。この二人に関しては今後の出演作品にも注目をしていきたい。

■ 現時代のアンチテーゼ
投票数、人数、イイネ数など、個人の意見よりも他者の意見や感想が重要になってしまっている現在を
うまいこと表現した「労働」はとても面白かった。闇バイトでめっちゃありそうだもんな。ていうかあるよな。

■みどり
なんかちょっと演技が下手と思った……けど、それがまた後半になると味わい深くなる!
役がそもそもの重要な役目で、だからこそ美味しいし、この役者さんもそれをちゃんと体言していてすごいと感じた。
いやー女って怖いですね(謎)

■めがねの女
自分結構あの地味子好きやったんやけどなぁ。
体もエロそうだったし、中村がなんであんな態度だったのかわからん(まぁやれればいいっていうだけだったんだろうけど)
「しかもどこでも誰とでもセックスしていい」場所において、寄り添って寝て自分の本当を吐露するなんてかなり重要な人物だろ!
・・・と思わせての本当にモブ。びっくり。みどりちゃんへのミスリードがすごい。
そして自分はまんまとミスリードにひっかかりましたよ!

 

■名前

紅子が登場して初めて、この映画で個人を指す「名前」が使われてないことに気付いた。(使われてたらすまん)

だから「みどり」の名前が出たときに衝撃が走る。

ああ!個人が奪われて、数になってんだ!と気付いたのは天啓のようだった。

「中村?贅沢な名前だね。今日からお前はデュードだ」

 

 

(そしてこのへんから不満噴出)

 

■エロくない
なんか「エロスが」みたいな売り文句?評価?があったのでどんなもんかと思ってたけど
ぜんっぜんエロくない。エロくないからイヤだとかじゃなくて「エロス」を売りにできる表現や映像ではまったくない。
基本水着の女がうろうろして「やりてぇ」みたいな感じしかない。
エロスってもっと、匂い立つような男女のやりとりか、超直接的な表現しかないと思うんですよ。
前者なら露骨な表現がなくてもエロいし、後者なら丁々発止のやりとりなんかなくても一気にエロい。
そのどっちもない。終始一切ない。
おっぱいのひとつもこぼれなければ、恋愛の駆け引きもない。はーびっくり!!

■「出るのも入るのも自由だが離れられないない町とは?」といううたい文句が仰々しい
このミステリー感あふれるうたい文句、素晴らしいんですよ!
なんでだろう!?なんで戻ってきちゃうんだろう!?すごく想像が広がる、本当に素晴らしい言葉だと思う。
でも結局「入居の時に首の後ろに埋め込まれた機械のせいで、頭の中で音楽が爆音で流れて耐えられないから」という物理!
はぁ~なめとるwwwwwww
すげぇナメとるわぁ~~と、もう見ながら半笑い。

一度「やれんじゃね?」と逃亡を企てた中村と相棒のふとっちょが、町から離れるにつれて爆音になる音楽に耐えかねてあわてて戻ってくるのを見て
自分は(いやいや、まさかな……まさかこんなのに耐えれないからっつって戻ってくんのか……?)と思ってたら最後までそれ。
なんかもう、本当がっかり感すさまじくて一気に気持ちがそがれた。

■中村
人生なんてどうでもいいやから始まっている中村の町生活。
まぁ後半覚醒していくわけですけど、ぜんぜんその覚醒への道筋が無い気がすんだよなぁ。
どこかではっきり何かに気づいたわけでも、正義感にたてついたわけでもなんでもない。
ただぼんやりと仲間(町にどっっぷり)ができて「ここで死んだ人ってどうなるんだろうなぁ」と言っただけ。
紅子と出会ってからどうという感じも無い。

■紅子と中村
妹を探しにきた紅子。入居したばかりでまだウブな紅子を見守る中村。
町になれてきてこなれている中村を嫌悪する紅子を心配して近づく中村。
しかし警戒している紅子。
町中での「数」の仕事に行ったとき、バスの中で紅子に「愛してる!」と叫ぶ中村。
いや……これ……正気?
惚れてる描写あった?気にしてる描写はあったけど。
それまで中村はみどりと一緒にいて「みどりよりも紅子を優先する」描写なんてひとつもなかったのに(緑にけしかけられて声をかけてたけど)突然の愛してる?
しかもそれは、バスの中え自分を拒否されたから言ったみたいな感じになっていてなんなんこれと。
紅子はまんざらでもない感じで否定し「何言ってんの」みたいなの言ってたけど、お前こそ中村を気に入ってる感じぜんっっぜんなかっただろうが!!!
自称セックスにまみれた(ぜんぜんまみれた描写のない)爛れた町にいる中村にそんな簡単に惚れるんか?!
心理描写がぜんぜん無い上に説明もないから本当気持ち悪い。
突然の「展開用の愛情」が持ち出されて自分は席を立とうかと思いましたが我慢!

■キス
そんな中迎えたキス。
脱走計画(後述する)を実行しようと通報ベルを押そうとしたとき、その前で紅子が切り出す。
「あのさ、あんたが言ったの、意味がわかんないんだけど」みたいなのを言う紅子に「あぁ、うん、そのまんまの意味だけど」みたいなのを言う中村。
さらに言い訳をしようとした中村の唇を突然のキスでふさぐ紅子!
唇をはなして、じっと見つめ合いながら中村が(?)ボタンを押して、左右に分かれて計画実行!

……っていう、もう見てると「ああぁーーこのシーンすんげぇ描きたかったんやろなぁ!すっげぇ満足したやろなぁ!」と笑いがこみ上げた。
そのシーンの突然感すごいんすよ。ねじ込んだというか。そもそもそこへ行き着くまでの恋愛描写がどん引きするほど薄いのに、そのキスシーンだけはかなりしっかりしている。
これ、もしかしたら中村倫也ファンならキャーってなるんかな?ぜんぜん理解できないですけど、なるならごめん。
そうだとしても演出としてどうかと思う。

■ガッバガバの逃避行
そもそもの町に来たときに「ところどころに監視カメラがありますよ」という描写があった。
にもかかわらず、普通に行われる解除用機械の盗難と逃走。
鍵もかかっていないいろんな施設の場所。
寝ている子供の略奪シーンは、それまでガラス越しに見るしかなかった子供にどう会うんだろうという予想を裏切り
あっさり侵入して普通に抱き上げて去る。なんじゃこれ…ガッバガバ・・・・
これってあれか。主人公アゲのために周囲がバカになるっていうあれか。

■しかしそんなのはもうバレバレなのです!
頭に流れる音を止める解除用装置の電池が切れ、逃走中にワァー!となったところで監視員が車に乗って登場!
「もうそろそろだと思って止めにきました」とどや顔で音を止めてやる監視員。
捕まって車に乗せられているのを見て「この女監視員をぶちころがして、車パクッて逃げたらいいのに」と思ったらやった!!!おっしゃ中村いいぞ中村!!
でも道のど真ん中に転がしとくのは色々まずくないか?なんも考えてないというか、逃げるのに必死やったんかな?
あんな見つかりやすいところじゃなくて、草の奥とかに突っ込んどけばいいのに。

■そこからの逃避行
金が無い(少しだけならある)。寝る場所も無い。そして逃げているという疲労
本人たちの戸籍も無くなっている。(実家とか知りあいとかおるんちゃうんか?と思うけど。特に紅子はこの間まで働いていたわけだし)
まぁとにかく彼らは世界にいないような感じになってます!
そんな中、田舎のコンビニみたいなところに車を止める中村。
紅子「だめ、やめて」中村「大丈夫だから」紅子「だって・・・・そんな。やめて、だめ!」中村「大丈夫、信じて」みたいなん言って目深にフードをかぶりなおす。
そうして店の中に入り、暗転。

■暗転のその後
突然場面が変わり、海辺の道に停まった車(盗んできたやつ)から、服装も違う紅子と中村が大量の食糧が入った買い物袋を下げて出てくる。
砂浜を見下ろす防波堤に座ってパンを食べる中村。
紅子「あ。それ、賞味期限長いから桃(一緒に逃げる子供)のやつなのに」中村「あ。ごめん」

・・・はああぁぁぁああああ!?!!?!?!?!?!?

いやいやいやいやいやいや、完全にあの時襲撃チーマースタイルやったやん。一文無しでガソリン代も必要で、それなのに今新しい服で食事もできてるってなんでなん?
襲撃以外で考えられるのは、店主が本当にいいひとで恵んでくれたとか、日雇いで仕事したとか、善意の寄付があったとかだろうけど、そんな匂わせかんっっぜんにゼロ!
そもそもそんな善意があるなら物語に組み込む必要があるわけで、そんな善意はこの物語には不要なんですよ。だって主人公ドン底人生だからこそ「人数の町」を選んだんやもの。
だから金があるってことは悪いことしか考えられんのだけど!
あれから悪いことをして金を得た展開って、その後後悔したり、でも子供の笑顔が見られるという喜びに葛藤したり、そういうのがあると思うんですよ。
でも一切なし。呑気に海辺でパン食ってる。逃げるでもなくなんでもなく。
で、手を離れて海へかけていく子供から目を離す。

バカじゃん。本当。せめて何かに気を取られて目を離せよ。はなから見る気がない感じで見てない。

で案の定、子供は水辺に行ってしまう。慌てて名前を呼び、広い海をなんか右往左往見て歩く中村。
いややいやいやいやいやいやいや!!!超直線状におるやん!!!!!
危ないから子供を呼び戻そうとするが子供は当然聞いちゃいねぇ。
その時、音楽の解除用機械から離れすぎたために頭になり響く音楽!呻く中村!
砂まみれで呻く中村!響く音楽!中村!水際の子供!突然腹痛が襲う紅子!よろよろと車に戻る紅子!響く音楽と中村!子供!波打ち際の笑顔を守りたい!叫ぶ中村!叫ぶ紅子!!激しい音楽!クラクションをめいっぱいならす紅子!!聞こえぬ中村!!叫ぶ中村!!子供!!(‘_’)という顔の自分!
結局必死に子供に近付いて抱き上げ、なんとか戻ろうとするとグッタリした紅子に気付いて叫んで駆け寄る!!!
いやー、すっげぇしつこいんだぁ~。ここも、すっごい描きたかったところなんだろうなぁ~。
焦燥感と緊張感を見ている側に与えたいんだろうけど、自分は(すでに分かるように)全然感情移入もできてないのでやたらしんどい。
ただでさえ音が大きめでどうせ鳴りやまない面倒くさい感じなのに「守ろうとするものに必死」みたいなヒーロー感出しまくられても
いや、この人いつヒーロー感ある覚醒あったんでしたっけ、と冷静さが襲い来る。

■紅子がまさかの
いや、予想通りというか、「そんなわけないやろ」という悪い想像通りの妊娠。
いやいやいやいやいやいや、どこで?どこでやったの???? 車か??????子供いるのに???????????
これエロ興味とかじゃなくて、本当に、このへん大事なことだと思うんですよ。
どこでもいいでしょじゃなくて、せめて匂わせる会話とか描写、目線とかで語ればいいと思うんですよ。
でもそんなん一切なくいきなり「母子ともに無事です」みたいなん言われても、まぁ自分は一切変わらないスーンてした顔なわけですけど、うっわwwwwとなるわけです。
あの天下のドラクエⅤですら、結婚後に宿屋でビアンカが「そっちにいっていい?」と聞いてくる。そんなん見たら、あー、仲良しさんやなぁと思うやんけ!!!
そういうのが一切ない!!!!!!!!!!!!

■疲れた
もう疲れた。イライラしまくりで疲れた。でも書く。

■病院で絶望
保険証もないから高額の医療費。そんなん払えるわけない、みたいな感じになっているけど自分からしたら
(いいやいあいやいやいやいや、あの暗転したら謎の錬金術でお金増えるんじゃないんすかwwwwウェヒヒwwww暗転すればいいんじゃないすかwwwww)
みたいなくだらないことすら浮かぶ。おそらく今やっている病院の絶望感は自分の好きな感じだけど、それすらもう穿った見方しかできない精神状態。
先生に呼ばれて、中村は子供に「ここにいてね」と声を掛けて、診察室みたいなところに入っていく。一人取り残される子供(推定4歳)
ありえなくね???病院で一人ぼっちでこんな子供待たせるって。普通一緒に入るか、ちょっと横で看護師さんが少しだけ話したり相手したりしてくれるんやない?
主人公の危機の為にバカをさせすぎ。
……と思ったが!!!!!!!この病院はもしかして、爆破テロに加担していたあの病院なのでは!!???と思ったらなんかワクワクが止まらない。
いやー、それなら、怪しい主治医みたいなんをちらりと出すとか、あのスーツの男とすれ違わせるとか、匂わせ方はなにかしらあるだろうにな。

■神登場
そんなところに現世のキリストこと(誰も言ってない)ポール登場!!!
めっちゃいい感じで子供とお話してるーかわいいー!!!
子どもも自然でかわいいーーー!!!ひゃー癒し~~!と思いながら見る。

■ポールと中村
看護師さんに連れられて子供が紅子のところへ行ったあと、そこに戻ってきた中村が観たのはポールの姿。
「桃は…」「ママに会いに行ってる」みたいなポールの返答で普通に大人しくしている中村。
普通そんなん信用するか?????
自分やったらこんな奴無視してとりあえず確認しに行くなぁ。
――とまぁ、思うところはあるけどそんな描写入れてたらまどろっこしいからなくていいか。
ということでポールは「戻ってこいよ、衣食住確保されてて何が不満だよ。俺たちは家族だ」みたいに言うと
中村は「そんなの、家族じゃない!家族っていうのは、一緒に過ごしたり、悩んだりして、そうやって作り上げていくものだ!」
と力説するけど、その姿がもう舞台役者さんなんすよ……あの感じ……なんていうか大げさというか、わざとらしいというか。声はいいのになぁ。

■オチ
まぁ、想像ついてたけど納得の職業に落ち着いた。あれ以上も以下もなくて、ミステリとしては十分に仕事をした感。
ただミステリにあると非常にいいどんでん返しのやられた感はゼロ。

■んん?
最後に、妊娠しておなかが大きな紅子が寝ている時に、音楽解除の機械が二人分置きっぱなしになっていることに気付いてなにやら神妙な感じを醸して、上記したオチになるんだが。
……どっちかというと、これをオチに持ってきたほうがいいんじゃない?
最後のお仕事シーンをオチに持ってくると、この前の謎を残したインパクトが薄くならないんかなぁ……。と思った。
で、この「二人分の機械が置きっぱなし」の件について、自分の解釈を。
解除の機械が二人分残っている→中村が持って行ってない
ということは確定なわけで、なんで中村がそれを持っていっていないかというと・・・・・・・
(自分の解釈)紅子がおそらく妊娠10カ月ちょい前くらいかな?臨月ではなさそうな感じだったけど。つーことは、妊娠発覚からだいたい9カ月くらい経っているわけです。
家もいるし、いろんな金を稼ぐために、おそらく中村は早々に仕事についたはずだ。
就職してから9カ月目、もう一人で立派に仕事ができるっ状況になっている中村は、完全に頭の中が染まりきっておりあの音楽もまったく聞こえない状態になっていた。
・・・という感じで考えました。

 

<追記>

■「出るのも入るのも自由だが逃げることはできない町とは?」

結局帰るところはここ。というか、ここに帰るしかないという。

でもこれって町に何かがあるのではなくて「一度入ったら戸籍とかも無くなって外では生きていけないから戻る」という

結局ある意味物理なわけで…決して魅力的だとか、何かの作用で戻るとかではない。

ちょっともにょもにょするんですよね。

だって人によっては、「ひとりで」出て、どこかの出稼ぎに落ち着いて生きている人もいるかもしれないし。

 


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総評:★☆☆☆☆ ほしひとつ
途中離席を考えたが怖いもの見たさになんとか見ることができた。
なんていうか、もう早い段階ですごくイライラした作品だった。映画見ながらイラついたことが無かったので(ドラクエはどんでん返しでイラついたけど)
こんな感情になる自分にびっくり。

 

【趣味】映画「プロメア」(英語吹き替え版&日本語版)鑑賞!

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初めて見たプロメアが劇場で英語吹き替えってアツない?
日本でもまれじゃね?オンリーワンJyane?

ってことで、今更ながら劇場で放映していたプロメアを観ました。
面白いという感想はそこかしこでぼんやり見たので興味が出て見たわけですが・・・感想を言っていきたい。

ちなみになんで英語吹き替えかというと、日本語のはいつでも見れるかなぁと思ったからです。

前日譚(?)は日本語だったので、キャラの日本語時のイメージとかはそのときにある程度理解した。
そのほか、結局「ここ日本語だったらどういう言い回しなのかな」と思うところがたくさんあったので
先日、日本語でも見直してきたぞーー!!!!
はまりすぎやろ!!!
おのれ・・・おのれ、プロメアアアァァァアア!
許さんぞおおぉぉおおープロメアアァぁぁぁあぁぁぁ!

つーことでいつもの通りネタバレあり。

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◆びっくり
なんていうか、絶妙な絵でめちゃ驚いた。
アメコミっぽさと日本のマンガのすっげぇ中間。
曲線のあまりないバキバキッとした表現も面白い。
スピード感を出すためのコマが少ない感じを受けたのはアメコミっぽかったかな?
次の瞬間にはビュンッと跳んでるというか、そういう表現。
よくある、よく見るアニメはそのあたりのコマもしっかりかかれてぬるぬる動いているイメージなので新鮮だった。(Dとかジブリ比)
色味が透明感あってきれいだった。ピンクとライトグリーンの組み合わせはさわやかでいいですね。

一方で、直線が多いだけに画面のごちゃ付きがやや気になった。
どこで何を誰がしているのか分かりづらい。
ただまぁ、そこまでの問題でもなかったな。それを補ってあまりある魅力が今作にはあると思う。

◆ギャグシーンがえらい海外アニメっぽい(笑)
かわいい。
後半の展開はまじめな感じなのに作画がやたらとラフな雰囲気になっているのが気になってしまった。
大した問題ではないんだが。

◆GALO side
初っぱな日本語でスタートして「うぉいうぉーい、英語ちゃうんかーい!」と思ってた。
とりあえずスタートしたのはどうやら主人公のガロ紹介みたいな小話。
ここで滅茶苦茶気になったのが・・・・
アイナ「マッドバーニッシュ・・・」
ガロ「マッドバーニッシュ?」
アイナ「そう。バーニッシュの中でも凶悪な奴らよ」
みたいな会話をするんだが、今更ガロがマッドバーニッシュ知らんて問題じゃね?
ここで少なくとも自分は「ん?ガロはその人たちを知らんのか?」と思ったけど・・・・これが次に流れたLIO sideの伏線となろうとは!!

◆LIO side
リオ初登場なわけだが、バーニッシュ軍団と出会う前は一人で何やってたんかなぁ。
いきなりのカリスマ性でリーダーになったわけだが……よくあの美少じょ……美少年をがちがちのリーダーに認めたな(笑)
それもこれも、あの装甲見たらそりゃね!認めるしかねーですよ、格好よすぎやろあーまー!!あとバイク!
3人そろって街を襲うときのテーマ曲と、股がっぴらいて玉座に座るあの感じ最高にアツいわ!自分の心臓ドクドク言ってた。
なんでリオをあの美少じょ……美少年でひらひらっぽい感じにしたんだろう。
アツい男との対比で冷静な感じにするなら、クールな大人(美男子)キャラはベタだったからかな。
一方で美少女にしたら、恋愛に一気に転がっていくだろうから話の焦点が色々とあわなくなる。
ってなってくると、やっぱり美少年が一番適任だったんだろうな。
個人的にはガロよりも年上の色っぽいお姉さんで、ガロを小僧扱いも良かったなぁ……ふふふ。

◆マッドバーニッシュの認知
30年間から暴走しているバーニッシュの中に過激派が出てきてマッドバーニッシュになったのが、世界的にも注目されている。
LIOsideで、街を襲ったときに住民が「きゃー!」「マッドバーニッシュよ!」みたいなん言ってて、そこで自分は「ん?」てなった。
GALOsideの話へのつっこみに戻るんだが……こんだけ世間が知ってるのにガロが「マッドバーニッシュ?」てアイナに聞くの本当に迂闊すぎるやろ!!!!
もうそこが、なんでやねん!と!!!
救急救命のことも習ってきてる、とガロは大まじめに言っていたから、ちゃんとそのへんのことも学んできてるんちゃうんかい!
っていう気になり具合はもうね、消えません。

◆アツい熱血男ガロ!
キャラとしてはベタ!昭和以前から使い倒されたアツい主人公!
でも、そこがこの作品のすごいところだ。
作品の全体的なテーマが「燃やす」「燃える」といった部分なので
このキャラクターがそこへがっつり入り込んでもおかしなところがない。
むしろこいつ以外に主人公はいないと思わせるくらいの熱さ。
名前の「ガロ」というのがどうしてガロなのか気になる・・・違ういろんなガロが頭をよぎる昭和世代・・・。

◆オープニング
バーニッシュという存在が生まれて、世界的に認知されるまでがめちゃくちゃ興味深い演出で描かれる。
真っ暗な画面で「我々は平和のために、何ができるのでしょうか」みたいなのがバスドラム(?)のリズムが刻まれる中
印象的に響いていたのがすごく良かった。

◆バーニングレスキュー出動!
横広の車体がギャギャギャとドリフトっとるのがめっちゃかっこいい。
なんていうか、英語で先に見たからの勝手な印象かもしれないけど
ロボットアニメというわけではないのにメカメカしくて、でも雰囲気は海外アニメみたいな感じというのが
自分の中でものすごくチグハグに思えて、理解しようとすべてのシーンで食い入って見てしまった。
いやー、すごい。すごい融合です。
どの時代にも射出にはロマンがある!!

レミー
自分、結構レミーの存在がアツくて。
メガネかけた細腕が、あのレスキューロボみたなんに乗ってがんがん活躍してるのよくない!?
いつもだったら基地でタカタカキーボード打ってそうなキャラやのにゴリゴリ活躍する!
しかもよくあるクール過ぎる感じでもない。ちゃんとつっこみみたいなんもする。
ややフワッとした感じのキャラだけど、優等生でノリが良い優しい兄ちゃんみたいな感じがすげーツボ。
生まれてくれてありがとう。

◆ガロの見得
ガロの動作で絶対見得切ってんだろうなー!というところは、英語ではさらりと流されていたので
日本語版見て「そうそうこれこれ!!」とめっちゃテンション上がった。
特に見得切り中にリオにとっとと攻撃されたシーン。あれ英語でなんつってたかなぁ・・・。

◆ガロVSリオ
めっちゃアツかったな!炎で剣作ってるのとかもめちゃ良かった。
つま先立ちアーマーどうなってるのか気になる。
「子供かよ!」「お前が言えたことか」のやりとりもいい!
つま先立ちアーマーをリオが装着してるのを、どういう感じで装着してるのか必至で目を細めて透かし見ようとしたけど見えんかった
(当たり前)
マトイテッカーにリオが収納されたのめっちゃかわいいけど
この作品リオみたいな細腰にもボコす容赦なさあるからそこがすごい

◆炎の存在
バーニッシュが炎を物質として扱うのは理解。
それ以外の人(バルカンとか)が炎に乗れたりするのはどうしてだろう

◆ルチア
マッドサイエンティストのルチア!
これね、英語版もそのまんまだから見てほしい!すごいっすよ!そのまま!!!
でも日本語版はちょっと斜にかまえた感じすぎて何いってっか分からん発音がちょいちょいあったかなぁ・・・

◆バーニッシュの二人
キャラ濃そうで濃くない。でもあれ異常個性持たせたら話の展開がぶち切れになりそうか、と理解している。

◆ガロとアイナのキス
すればよかったのにー!
ガロは真顔だったから、そういう感じでもなかったのか?
でもあのアイナかわいかったやんか・・・・

◆洞窟に隠れるバーニッシュ
ガロ「ハッ! バーニッシュが食事すんのかよ!」
という言葉に大して、リオが「当然だ。バーニッシュも人間だ。食べなければ死ぬ」と冷静に言い放った。
正直、それはすごく安直でバカみたいな質問だし意見だったと思うんだが
それほどまでバーニッシュへの偏見があって、内情まできちんと理解されていないということにほかならない。
バーニングレスキューのガロがその意見言ってもていいんやろか・・・と思わなくもない。
勉強とかしてきてないんかと。
ただ、感情の高ぶりで言った感じもあるし、いいシーンだと思うので自分は好きです。
その後の女性へのリオの人口呼吸も、のちの伏線になってるし。
あと、日本語版でリオが「何も知らないんだな」といったあの冷静さと呆れと怒りの混じったあのトーンの声最高だった。

松山ケンイチ
さしすせそが苦手。 良かった。

早乙女太一
声が低めなところが逆にいい。

◆旦那と呼ぶなあぁぁー!!!!
堺雅人の日本語(GALOSIDE)を聞いたあとで吹き替えだったので、ここで堺雅人がどんな怪演をするのかめちゃ楽しみだった。
この時のクレイは、やはり堺雅人優勝やろ・・・・・・
一方ガロは英語の方が悲壮感すごかった。聞いてるこっちの胸が痛むほどにすばらしかったなぁ。

◆アイナの姉ちゃん
英語吹き替えの声も日本語も声がすごく良かった!

◆じいさん あいつが裏切ってる意味あった?
なんか、あそこ雑に感じるんだよなぁ。
長い映画だし仕方ないのかもしれんけど、突然感すごいんだよなぁ。
「生い先が短いと保身に走る」ということをバルカンが説明するってことは、がちでじじいが悪い奴になるしかないわけだし。
リオはじじいの裏切りに対し後から何も言及しなかったけど、
少なからずあの仲間を殺した憎い奴らの原因を作ったのはあのじじいでもある。
なんかこう…誰かを守るために裏切るしかなかった、とかであればリオの怒りは「バーニッシュを返せ!」のみですむはずなのになぁ。
リオはそういうの関係ないんかな、バーニッシュに対して優しいから。

◆リオぶち切れ
作画変わった!いきなり遊戯王っぽい!
火山の噴火の絵がいきなりこてこてになってすごい!手書きなんかな、手書きっぽい感じだったけど。
どわーっ!どーん!ていう重さを感じる描写がすばらしかった。一瞬リオの苦しそうな、感情が爆発する表情で盛り上がるのもすごい(かわいい)
クレイイイィィフォオオーーサイトオオォォオオ!!!!
がめっちゃかっこいいし爽快だ!

んで、ガロ「リオ……?」て通じすぎやろ。しかもあの炎の竜見て「泣いてんのか」と言える理解度。
どこまでや。どこまで通じあってんねや。(通じあってない)
人を殺さないんじゃなかったのか!と言われてハッと我に返るリオ。
あれ?じゃあやっぱっぶちぎれモードになってから、人死んでんだよな?

◆湖底の施設
いきなり怒濤の説明wwww
いや、いいよ!もうここまできたら付き合うよ!と思ってもしんどいわwwww
と思ってたら、ガロが寝てるしこっちの感情をうまいこと理解していて面白かった。
とはいえ、英語の初見では意味が分からず!!日本語で見てやっと少し理解できた感じ。
あと、アイナの水玉コラうまいことやるなぁと関心した。
画面の右と左ではリオとガロをうつしながら、中央のアイナの肌露出部分がうまいこと(一部は露骨に強引なくらいに)水玉コラっててすごいと思った。

◆ガロとリオじゃなくても良かった。
誰でも良かった
うん!・・・・このくらいのあっさり感がこの映画にはあってるね!ほめ言葉です!

◆リオデガロン
ガロデリオンにしなかったのをマシと思えみたいなんをガロが言うが、たぶんリオはそれどうでもいいんじゃないのか(笑)
ガロが言うことをいちいち理解して「はいはい」みたいに出してあげてるリオがめっちゃ大人。

◆クレイのロボ
勝手にガロが名前呼んでるの見て「へぇー、そういう名前だってのどこかで知ったんか」と思ってたら
本当に勝手に付けててクレイに切れられてたwwwwそりゃ切れられるやろ。
技の癖がつよい!開墾ビームとかもう字面がずるい!
あと、このロボの何が好きって、殴られてコックピット(頭)がずるずるずるーって引き出されてもすぐにがシャン!て戻って、そこから一気に動作へ移行するところ。
あれ印象的でめっちゃ好きなんだが、みんなどうだったんだろ・・・・。

◆戦闘場所
英語の時は世界観とかもしっかり見ることもできなかったんだが
今回いろいろ見てたら、あの青空のビルの谷間が船のなかだということをちゃんと理解できた。
船の中から空見上げたら青空に見える的な感じかと思ってたんだが2回目でちゃんと天井がはがれ落ちるのとかも理解できた。

◆冷たいやつ出されまくる
リオ「ガロ!これはどういう戦法だ!」
ガロ「やせがまんだ!」
というやりとりめっちゃかわいい。そのあと寒くてがちがちになってるガロを溶かしてあげるリオの両手がやさしい。
クレイの冷却と、リオの炎で互いの機体に羽みたいなんが出てるのめっちゃいい。

◆理解に苦しんだこと(2回目で理解できたこと)
プロメア(平行世界の炎のひと)に苦しみを与えると火山爆発する
→バーニッシュの力を引き出してくるしめるとプロメアにもそれが共鳴して苦しむから火山爆発する
→でもプロメアはもっと暴れたいと言っている!
というところで2回目(日本語)見るまでうーんと思ってたんだが
どうやら「バーニッシュが気持ちいい力の使いかたならいい」という感じなんだな。
だからリオがリオデガロンでがんがん力を使うのは◎で、無理矢理力を引き出されるのは苦しいから×なんだな。
やっと理解できたよ。あってるかは分からんが。

◆バルかーん!イグニース!
おっさん対決かわいい。

◆人口呼吸(キス)
なげーわwwwwもっと短くてよかったんじゃないか。
それにしても、あそこリオの腰の細さとか腰と背中のSラインとかめちゃくちゃすげーですよ・・・なんで男の子であれにしたんだよ・・・罪作りすぎるだろ・・・
がちの人工呼吸なら、肺が膨らんでるのを確認とかもするけどしてなかったから
どっちかっていうと人口呼吸というより、炎を口移しで身体の奥に戻したっていう感じなんかな。
口の中にぶち込んで手でふさいどきゃいいじゃんと思わなくもないが、それでは奥までちゃんと炎がいかないんだろう。

あのシーン何がいいって、我に返るまではガロもなんの意識もしてなくて(くそ、息が戻らない)くらいの感じで真剣にやってたのに
リオがちょっと美人な感じで「ガロ……お前が助けてくれたのか」みたいなんを言ったら
ハッと気付いて距離を保ちつつ赤くなって「お前のせいで俺は生まれて初めて火をつけちまったじゃねーか!」ていうのが
リオの命の炎を付ける、ということと何らかの火を二人の間に灯したというBLな空気になっており
もうね……これは、これはですよ(笑)

◆燃えて消すぜ!
二人とも見得切る感じになってたのいいけど、リオには冷静さを取り戻していただきたい(笑)完全にガロに飲まれとるやないかい。
ガロデリオンが大きくなったイメージで地球をボコすの何度見ても笑えるなぁ。壮大すぎておもろい。
で、なんで燃やすねんってめっちゃ思ってたんだが、江戸時代の火消しって延焼を抑えるために破壊するんすよね。
で、住民たちはそんなん嫌だけど、そうしないと街が全部燃えちゃうから泣く泣く承知するわけ。
というか、火消したちにドケドケドケーイ!とぶっ壊されるわけです。
消すんじゃなくて燃やし尽くさせて終えるという状態。止めようがない(壊しようがない)から燃え尽きるという状況はまさに今じゃないか!

リオからプロメアの力が失われていくシーン、リオの表情とかすごく良かった。
プロメアがなくなるのが嫌というわけではないが、今まで自分の身体の中で生きていたものがスッと無くなっていく感じがめちゃ分かる演出。

◆ラスト
力を失ったリオはただのリオになるんだよな。ただの美少じょ……美少年になっちまうわけです。どうすんだろ。
ぼろぼろになった地球で呆然と立つ人々。
そこで、ガロはさわやかに言います。「これからだ!」
そう、これからなんです!お前らに降りかかってくる火の粉は俺が振り払ってやる!と豪語するガロ。
しかしですよ。
意味が分かって前向きに戦ってやってきたガロたちと違い
一般市民は
突然竜の形したマッドバーニッシュが町中を燃やしまくってびっくりしてたら
突然クレイ財団の施設周辺が船になって浮かび上がってびっくりして
近寄ろうとしてたらクレイ財団から銃とか向けられてびっくりしてたら
火山が噴火しはじめてあわててびっくりしたけど
なんか熱も感じないっていう状態で街とかは燃えまくって財産とかも燃えちゃってびっくりして
でも熱はなかったけど衝撃とかはあったからびっくりして、もうびっくりしている。
という状態なわけですよ。
そんな前向きになれんやろ…かわいそうすぎる…
あ、あとぶち切れモードで人を殺したであろうリオの逮捕を求めます。(突然の寝返り)
あとクレイは当然殺人しまくってるので逮捕。
あとガロもとりあえず逮捕。
堺雅人もいつもと違って声が太かったので逮捕。

堺雅人
プーさんのクリストファー・ロビンとの差!


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
総評 ★★★★☆ ほし、4.1!
とにかく映像が飽きない、飽きさせない。
キャラも魅力的。
んで、結局前述した通り映画館で「英語」「日本語」で二回見たんだが
気付いたことありますねん。

ガロの熱さとか、見得とかキャラデザの雰囲気とか、何かににてると。
これ!天外魔境風雲カブキ伝のカブキです!
www.youtube.com
いや、似てないとかいろいろ意見あると思うんですけどぜんぜんいいんです(笑)。
見得切ったりするところとかキャラのテンションとか熱さかなぁ。
懐かしいなぁ、これ出てから結構たってた後で、めちゃくちゃやりたくてPCエンジン本体まで買ったもんな。
めっちゃ思い出してなっつかしい!てなった。

今更だけど2回、映画館の大画面と音響で見れたのは本当に幸運だった。
ブルーレイ欲しいけど見ないだろうなぁ・・・(テレビを使わないひと)

【趣味】映画「ルース・エドガー」鑑賞!

f:id:tora_kaibuntei:20200801181032j:plain
http://luce-edgar.com/sp/

これどこで予告見たんだっけなぁ?
単館映画系のところで予告を見て、うっわめっちゃおもろそう!と思って見に行ったわけです。

<あらすじ>
 バージニア州アーリントンの高校に通うアフリカ系アメリカ人のルース・エドガー(ケルヴィン・ハリソン・Jr.)は、文武両道の模範的な優等生だ。陸上部で活躍し、討論部の代表として全米大会に出場したこともあるルースは、さまざまなルーツの生徒が通う学校で誰からも慕われている。戦火の国エリトリアで生まれ、7歳の時にアメリカへ渡ってきた彼は、養父母となったエイミー(ナオミ・ワッツ)、ピーター(ティム・ロス)のエドガー夫妻から現在の名前を授かり、幼少期に戦場へ駆り出された悲惨なトラウマを克服した。今や若きバラク・オバマを彷彿とさせる聡明な若者に成長し、将来を嘱望されるルースは、人種のるつぼであるコミュニティの希望の星となっていた。

 そんなある日、エイミーはベテランの歴史教師ハリエット・ウィルソン(オクタヴィア・スペンサー)から学校へ呼び出される。息子のルースが歴史上の人物をテーマにした課題のレポートで、アルジェリア独立運動の革命家フランツ・ファノンを取り上げ、彼の過激な思想について記したというのだ。そして、その内容を問題視したウィルソンはルースのロッカーを捜索し、危険な違法の花火を発見したという。息子のプライバシーを無視して調査を行ったウィルソンに反発するエイミーだったが、不安に駆られて夫のピーターに相談することに。「たかが花火だ。心配するな。息子がテロリストだとでも?」と事もなげに答えるピーター。

 帰宅したルースと夕食を囲んでその話題を向けると、ルースもウィルソンへの微妙なわだかまりを抱いていることが判明する。ウィルソンは教育熱心な反面、生徒たちにレッテルを貼る傾向があり、彼らを従わせて自分の政治的な主張に利用しているというのだ。「僕に与えられた役は“悲劇を乗り越えた黒人”で“アメリカの良心の象徴”なんだ。責任を感じて重荷だよ」。

 その後もルースとウィルソンの緊張関係はじわじわと高まっていった。エイミーは愛する息子を信じ、彼を守り抜きたいと思っているが、嫌な胸のざわめきを抑えられない。「なぜ違法の花火をロッカーに?」とルースを問い詰め、彼が以前交際していた同級生ステファニー(アンドレア・バング)から事情を聞き出そうと試みる。それでもルースへの疑念を払拭できないエイミーは、息子が自分のまったく知らない別の顔を隠し持っているのではないかと苦悩を深めていく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


これもう、細かいこと書かずに一気に感想言うよ!!
★★★☆☆ ほし、2,7!
こまけーことを気にしない人には
★★★☆☆ほし、3,2!

いつも通りネタバレ注意ですので、ネタバレがイヤな人は適当な壁に全力で今すぐお持ちのスマホやPCをぶんなげるといいと思います!
映画をこれから見ようと思っている人には絶対にこの先はおすすめしない!
見たあとにまたお会いしましょう!





※※※※※※<以下ネタバレ注意>※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



◆ハリエットはハリエットでも、前回見たパワフルで頑張りやなハリエット(別作品)とはほど遠いな!!!!!

つーことで、感想をバンバン言っていきますが・・・・
ルースは非常に魅力的です。
聡明で、頭がキレるところはヤガミライト的なダークヒーロー感ある。
結局教師のハリエットと張り合った(言いたいだけ)んだが
そこまでの切れ者と分かっているルースに対して、ハリエットを始めとした大人がまぁバカ揃い!
特に前述してるが、彼とモロにぶつかっていくハリエット先生はもう一番バカです。
何がバカって、あんだけ切れ者なの分かっていてどんな状況でもなんの録音や録画もしてない。
そりゃ初期はそうかもしれんし、仕方がないかもしれんが自分や家族の身に危険が及んでもそこまでの対処をしない。

ことの始まりは、ルースが論文で「アルジェリア独立運動の革命家フランツ・ファノンを取り上げ、彼の過激な思想について記した」こと。
過激思想を肯定的に捉えたその論文を見たハリエット先生は、勝手に彼のロッカーをあけます。
もうその時点でバカですよ。そりゃ問題になるに決まってるやん。後から問題になって「ほらいわんこっちゃない」と思うこっちはもうイライラしてます。
いや、ここで慎重にスタートしたら物語がルースVSハリエット先生にならんから、仕方のないスタートなんですけどね。
でもだからこそバカ設定にされたハリエット先生がかわいそうすぎる。
で、早速そこで見つけた危険な花火を、母親に突きつけます。
もう、さっきやらかしたのに数分後には二度目のやらかし!
誰にもそれを報告せずにやらかし!母親は当然衝撃をうけて否定します。だって息子はすてきな子だもの!
という考えはまぁ理解できる。バカなのはハリエット先生だ。

ハリエット先生には姉がいるが、精神的な障害があり施設にいる。(このへん記憶が前後)
そのことを学校ではひた隠しにしていたが、ルースにばれた上「先生は尊敬に値する」みたいな感じでみんなの前で言われる。
その後、錯乱した姉がいきなり学校に現れる。「あんたはあたしのことを嫌いなんだろ!」みたいなことを言いながら服を脱いで全裸に。
当然キャーワーなる学校。警備員に取り押さえられてつれていかれる。
ーーとまぁ、この姉騒動を起こしたのも当然ルースなわけだが、彼女をここまでどうやってつれてきたんだ?
ルースの姿をひとつも見られないできたのか?
錯乱している姉が、学校の校舎の入り口までうまいことたどり着いたのは導きがあったからじゃないのか?
じゃあなんで学校は、侵入者を取り押さえるまでに発展した事件なのに防犯カメラも確認しないんだ?
確認してたらルースの姿が映ってたりなんやりしないのか?
少なくとも、映っていなくても何らかの理由でルースの切れ者感がさらに深まる設定ができるんじゃないのか?
・・・っていう、もうバカ対処丸出しでイライラも増す。


後半、姉のこともルースがやったことだと確信したハリエット先生と、キョトン顔をきめこむルースがバッチバチになる。

「ルースに乱暴された」と先生に相談してきた女生徒がおり、話を聞くが彼女の話を鵜呑みにしている先生。
そして、大事なところで証言をさせるまえに逃げられている。
だから皆は「ハリエット先生は嘘をつている」という展開になる。
バカすぎるやろ、そもそもそんな重要な証言をしている生徒のことを自分一人で対処している時点でおかしい。
他の先生とも共有をするなどしてないのか?
少なくとも他の信頼できる先生を同席させた上で話をまとめ、その後証言に立たせれば良かったのでは?
なんだこのぬるさは。


◆そしてラストへ。
ハリエット先生のデスクで危険な花火が発火。学校がボヤになり、死人はいなかったが大問題に。
それを知った母親は、ハリエット先生から受け取った花火をかくしていた場所(けっこうちゃんと隠していた)を捜索するがーーない。
ここで、ルースの所行を確信した母親と視聴者の気持ちが「あー・・・」と一体になる。
なんというか、もやもやしたものがすっきりした安堵や興奮、一方で大事にしていた息子に裏切られた母親の悲しみが迫る。
その背後にやってくるルース。
穏やかで、優しい声で「いつも、子どものころにそこにクリスマスプレゼントを隠してたね」と言う。
「どうして知ってるの・・・?プレゼントを初めて見たとき、あんなに喜んでくれてたのに・・・」
「だって、そうやって喜んだほうがいいだろ?」
という闇の深すぎるルース!うわーすげーいい!!!!
母親はルースを抱きしめ、彼の「優秀でいなくてはアメリカで認められない」という苦しみもすべて受け取ったうえで、ルースを徹底的に守ることに決める。
それはルースを戦場から引き取った母親の懺悔と覚悟だ。
このあたりは本当に鳥肌た立つ、すばらしい流れだった。

いやしかし、花火の設置とか!絶対に防犯カメラに映ってるやろそんなん!!!!!!
なんなん!?もうバカ大人ばっかりでよー!!!

ということでハリエット先生は非常にデキる先生とのふれこみだが、完全にバカ。
というか、主人公を天才にしようとして周囲がバカになってるパターン。
見ながらイライラが止まらなかった。

正直、この点さえクリアされてれば、そんな風に思わなかったのになぁ。
それ以外はかなり良かったと思うんですよ。
追いつめられるミステリ感も、人種差別問題へ切り込む姿勢も外野の意見ではなくてその人たちが感じたものが表出していたと思う。
本当にむちゃくちゃもったいない。
俳優さんたちもすばらしかった。だからこそマジでもったいない。
こんなにもったいない映画、自分見たことないくらいもったいない。

印象に残りまくりです。もう、モッタイナイ映画。

という感想でした!

【趣味】映画「ハリエット」鑑賞!

自粛あけてから、まるで息をするように映画を映画館に見に行きまくっています!
それまでもかなり観に行ってはいたけど、今のペースは異常(笑)。週2本は行ってる感じだな。
映画館休業中に観たかった映画がかなり溜まってしまったことが理由の大部分だけど
それ以上に「こんだけ求めてますよー!求めてる人いますからねー!」と映画業界に言いたいのもある。
観てますからねー!!!!!!!!!楽しませてもらってますからねーーーー!!!!!!!

しかし何が辛いって、感想を書きたいのに書き進まないから溜まっていくばっかりですよ!

つーことで今日は「ハリエット」の感想を書きたい。
先日の「許された子どもたち」に続き、実際の事件をベースにしたノンフィクション寄り。

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https://harriet-movie.jp/

【あらすじ 】※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
アフリカ系アメリカ人女性として初めて新20ドル紙幣に採用された奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの激動の人生を映画化。「プレイヤー 死の祈り」の女性監督ケイシー・レモンズがメガホンをとり、「ホテル・エルロワイヤル」など映画でも活躍するミュージカル女優シンシア・エリボが主演を務め、主題歌も担当。第92回アカデミー賞では主演女優賞と主題歌賞にノミネートされた。1849年、メリーランド州。ブローダス家が所有する農園の奴隷として幼い頃から過酷な生活を強いられてきたミンティは、いつか自由の身となって家族と一緒に人間らしい生活を送ることを願っていた。ある日、奴隷主エドワードが急死し、借金の返済に迫られたブローダス家はミンティを売ることに。家族との永遠の別れを察知したミンティは脱走を決意し、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州を目指して旅立つが……。共演は「女王陛下のお気に入り」のジョー・アルウィン、「ドリーム」のジャネール・モネイ

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

よくぞこのタイミングで放映してくれたなぁ、と感慨深くなるような作品。
自分は元々黒人の出る映画が好きなので当然観たんだが
なんで好きかっていったら、その一つに「逆境に打ち勝とうとするパワー、支える人々」っていうのがあるような気がしてきた。
ポリコレ警察がやってきたら大もめになりそうだから追求はしないけど
自分にとっては「黒人」だの「白人」だの「黄人」だの人種は関係なくて
主人公がいかに戦っているか、というのがポイントなのであって
その琴線に響いてくるのが黒人の人たちの物語が多いというだけだと感じている。
別に黒人の出るものを選んでいるのではなくて、自然と作品がそうなっているというか。

あと、こんなん言うとそれはそれでポリコレ警察来そうだけど
声質や肌の色もそうだけどパーツの作りも全体的に魅力がある。
ディズニープリンセスになったティアナなんて、ドレスもものすごく似合う美しい女性です。
(なおプリンセスいちすてきなのはジャスミンと言って憚らない。異論は認める)
みんな違ってみんないい、でええやん……。
声優だって合ってる人がやったらいいやん。何人でも何色でも別にええやろ。キャラなんだから!


長くなったがハリエットの感想いきます。
ネタバレなので注意

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

◆かんっっっぜんに奴隷ですからね!
時は19世紀前半。白人の領主のもとで完全に奴隷として酷使されている一家。
「奴隷黒人」と「自由黒人」には大きな隔たりがあって、過去の契約などによって「奴隷黒人」を解放しないといけないのだが
それが守られていないのが、主人公ミンティの母たち。自由黒人の子どもは自由黒人だ。
本来なら、ミンティも自由でないといけないのに、弁護士を雇ってまで調査をしたその結果を領主が破り捨てる。
なぜなら、奴隷は財産だから!
財産は土地や家畜と同じ。それを売り買いするのも領主の財テクの一つ!
ーーという現実をまざまざと見せつけられ、結構しんどい。
夫との間に子どもを作りたいと思っても、領主にそれを言ったところで
生まれてきた子どもも同じ奴隷になってしまう。

だからこそ、自由を求めたミンティを罵倒し「お前の母親も、お前も生まれる子どもも全て私のものだ!」と吐き捨てる領主。
ひどすぎるやん。どん引き。

プランテーションソング
皆で声を合わせて歌ったり、一人のリードにレスポンスして歌い上げる労働歌がものすごくいいエッセンスになっている。
これは実際に労働をしながら歌われていたものだ。
それを聞いた瞬間に思い出したものがある。
ゲームの名作と名高い「Detroit become human」で歌われていた「Hold on just a little while longer 」だ。
これも、自分の苦境を認識して「耐える」歌だ。同じ時代か、この後の南北戦争あたりで歌われていたらしい。
今回のハリエットでも牧師がよく「Hold on」を言っていたので、やはり何かを変えるのではなく「耐える」ことを強要され続け、諦めるしかなかった奴隷たちのつらさがよくわかる。
もの悲しくも美しく、パワーのある歌声もすばらしい

◆ミンティにお告げ
昔領主が投げた何かが頭に当たって血が出て昏睡状態になってから、神のお告げが聞こえるようになっていたミンティ。
領主が財政難になったこともあり、なんかやたら抵抗してくるミンティを「NEGLO」表記で作ったポスターで売りに出そうとする!
このままでは売られてしまう、もうみんなとも会えないと判断したミンティはとにかく逃げます!
あいする夫や家族を置いて逃げます!犬が負ってこようがなんだろうが逃げます!

そこに、領主の息子ギデオン(30前後)がやってきて「今戻ってくるなら罪を問わない」みたいなのを言う。
このギデオン、子どもの時からミンティに面倒をみてもらっていたのだが、奴隷だと思ってるので扱いがひどい。
「神に祈っているのか。だが黒人の祈りは神には届かない」とか
「お前は昔、俺の為に祈ったな。熱が出て目を開けたときに見たお前の黒い顔は何よりもおぞましかった」
みたいなのを言う傲慢さ。
だがしかしねー、かなりこの人イケメンなんすよね。
しかもちょっとヘタレっぽい雰囲気もお坊ちゃん感すごい。
昔のジョニー・デップっぽい色気もあってすごい好きやなと思った。
なお、結構いろんな表情をみれたわけだが実写のフリン・ライダーはこの人がいいとすげー頭をぐるぐるしていた(笑)


◆190kmかな?一人でほぼ歩いて必死で逃げる。
すげー脚力と精神力
旦那さんにも別れをつげ、いろいろ助けられ、なんとか生きて都会に行き、目的としていたウィリアムにあうことができた。

◆ウィリアム
めっちゃいい人。この人、ミンティなみにいい人。
とにかく脱走する奴隷たちを本気で守ってかくまおうとしてくれている。

◆マリー
黒人だが奴隷でない上流っぽい女性マリー。
始めイヤな人の感じを出しており、ミンティはそんな彼女にいらだちを覚えている様子だが
マリーは決してイヤな人でもなく、ただ「奴隷ではない黒人」というだけだ。
だから、ミンティの立場を哀れに思っても同情はできない。
彼女は彼女のできる支援(ミンティたち元奴隷をかくまい、職をあたえ、淑女のたしなみを覚えさせ自立させる)をするのだ。

◆だがしかし、ミンティは終わらないぜ!
ミンティが助かったのは奇跡だと思っている周囲に対して、もう一度その奇跡を起こしてやると立ち上がるミンティ。
家族を放っておけない、などウィリアムにつっかかる姿は「おいおい、これ捕まってあかんパターンになるやつや」と
思いつつも応援してしまうし、そもそも史実なのでそんな簡単には捕まってどうこうならない!見たか!これが現実だ!

◆んで、自分はここで号泣してまう。
まだ始まって結構早いのに・・・
1年後、ミンティが夫のところに戻った!脱走計画第一段だ!
ミンティをかばったがために潰された片目が痛々しい夫。生きていたことを知り驚く彼をミンティは固く抱きしめるが、なんか狼狽している感じの夫。
「迎えにきたの、逃げましょう」と言っても反応は歯切れが悪い。当然夫の不自然な様子に気づくミンティは、彼の指に知らない指輪を見たーー。
「うそ、うそ・・・」
「ミンティ、聞いてくれ、俺には今妻と子どもがいる」
「さわらないで!
「再婚したんだ」
「裏切りもの!あなたは私を裏切ったのよ!」
「俺は君を愛してた、君が死んだと聞いて絶望に陥った!耐えられなかった!」
「うそよ、こんなの・・・!」
という具合に、ミンティの心がみるみるうちにずたずたにされるのを目の当たりにしてもう、自分は涙腺崩壊。
夫は夫で、本当にミンティを愛してたし拷問を受けても彼女の居場所を吐かなかった。
深く愛していたからこそ、その悲しみは同じくらい深かっただろう。癒しを新たな家族に求めたとしても、彼を責められるものではない。
ただ、ミンティは自分の家族を救うという信念のもと戦い続けてきた。
その心の芯がぽっきり折れるのだ。しかも、幸せを壊しにきた存在として愛した人に認知されているーー。
つらい。辛すぎる。

◆しかしそんな悲しみをぶんなげて、みんなを助けるんじゃい!
せっせと仕事をする奴隷たちに向かい、木陰に隠れたミンティが
即興(?)の歌で相手を呼び、なにを考えているのかを大声で歌う。
それをきちんと理解して察する人たち。心の奥底でなにを望み、どうしたかったのかが痛いほど伝わってきて涙が出た。
ぼそぼそ話し合ったり、計画したりなんかもしない。
いきなり奴隷の作業場に現れたミンティが大声で「モーゼに付いて行け」みたいな歌を歌うと、皆持っていた農具を放って駆け出す。
演出だとは思うけど、緻密に練られた計画など通用しないであろう彼らには急襲が一番良かったのだろうと思う。

◆伝説のモーゼになる
そうしてたくさんの奴隷をつれて逃げるミンティ。
逃がしすぎて、彼女の存在は「モーゼ」と呼ばれる謎の人になった。
モーゼがくると、白人の領主には痛手。だって自分の財産でもある黒人奴隷がいなくなってしまうのだ。
どんどん財産が失われ、くるっていくフローダス家。
いい感じのざまぁ展開。

◆切れるギデオン
モーゼがミンティだったことを知り、周囲の地主に「お前のとこの奴隷がモーゼじゃねーか!弁償しろよ!」と詰められまくる。
切れたギデオンはミンティを本気で殺しにかかるが、今や 坊ちゃん育ちのギデオンよりもミンティのほうが戦いに慣れている。

馬に乗りミンティを追うが見失ったそのギデオンの背にミンティが銃を突きつけ「動いたら撃つ」みたいなんを言うが
ギデオンは持っていたライフルを捨てて小さな銃を取り出そうとし、見事にミンティに指を打ち抜かれる。
「ぎゃわー!」とわめくギデオン。汗だらだらになりつつ、ミンティにこう言う。

「子どもの時に熱を出した俺にお前は祈っただろう。あんなに俺のために祈ってくれたじゃないか」
「俺たちはお互いにを必要としてるーーだから好きだったのかもな」

うわーストーカーきんもー☆
もう、酸いも甘いも知り尽くしたミンティはうんざりした表情。その顔に一切の動揺は見られない(笑)
あたりめーだろギデオン、ミンティさんをなんだと思ってんだよ!小物のてめーは片思いしとけバーヤバーーヤ!
という気持ちにもなる。

結局ミンティは空へ向かって銃を撃ち、馬をパクッて逃走。

◆その後
いろいろあっさり怒濤で描かれる。
南北戦争で先頭に立って戦ったこととか
独身で、意外と長寿で亡くなったこととかが描かれる。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
総評;★★★★☆ ほし、3.6!
パワー溢れる映画だったが、ただ単純にパワーがあるだけではなく常にもの悲しさや息苦しさのある作品だった。
焦点が当たるのはミンティの人生であって、戦争でも人の行きしにのことでもない。
だからやたらと血がでない。
泥にはまみれるけどきれいで、比較的清潔。
別に見せろというわけではないが、もうすこしそういった犠牲があった部分もあったほうが良かったのではないかなぁと思う。

音楽がとにかく心ふるわせる良作でした。

【創作・小説】<完結>某国政府の少子化対策~女に変わるカラダとココロ~

本日、全年齢版の拙作

「某国政府の少子化対策 ~女に変わるカラダとココロ~」が完結しました。

 

ひとえに読んで下さった皆さま(と、止めようと思っても不屈の精神でやりきったやる気のある時の自分)のおかげです。

誠にありがとうございました。

 

いつも設定などの語りを完結後にするので、今回もまた備忘録を含めて書きたいと思います。

 

 

 

 

 

■書こうと思ったきっかけ

前作はBL(18禁)でした。

自分はその時18禁以外の作品を書けなかったので、全年齢で、しかしただの恋愛ではないものをかきたいとぼんやり考えていました。

 

つーか前作BLの主人公がかなりの不憫ビッチで、女装させたりして強制的に愛でてたら

自分の趣味がどんどんそっちに行ってしまった感ある。

こう、自分の意思に反して捻じ曲げられる性というか。

この文面がまさに「思いもよらぬタイミングで、望まぬ女性化をする」ということのすべてを物語っている気がする。

 

■プロット

初め、短編でやろうとしてた……こんだけの長さになってんのによく短編なんて豪語できたな!

アホだな!!!

 

■変容者

「変容者」という言葉を生み出すにあたり、色々調べて先に使われてないのを確認してから設定しました。

「篩選者」は篩(ふるい)にかけて選ぶ者、というそのままの字面。

 

■政府

なんか強引にぐりぐり考えてたら政府公認ていうか強制になってた

 

■ボツ

一度書いたけど、ぜんっぜんしっくりこなくてボツにしたのがこちら。

冒頭「変容者」の説明後、小学生で話をすすめますがそこがもともとコレでした。

これをボツにして、堂島の存在も全部考えなおして現在の形になっていました。

(以下1454文字)

 

*******************

「なぁ、ニュース見た?」

 茶髪をヘアバンドで止めながら颯人《はやと》が言った。右手にハンバーガーを持って、左手でスマートフォンを操作している。

「なんのニュース?」

 大誠《たいせい》が身を乗り出した。

 颯人が無表情で見せた画面には美しい女性の写真が載っており、そこに『スクープ! 超人気アイドルグループ「DASH」 メインボーカル前原《まえはら》 裕哉《ひろや》 活動停止の間に変容者《へんようしゃ》に!』と書いてある。

 大誠は驚いた顔をして、画面を触った。

「おい、ポテト食った手で触るなよ」

 颯人が嫌そうに言うと画面をナプキンで拭いた。そうして、スマートフォンをスクロールする。

 女性に変容した芸能人の前原《まえはら》は石油産出国の富豪に見初められ、即第二夫人になったらしい。幸せそうな写真が複数枚載っていた。

「うわ、すげぇ」

 様々な色の宝石が付いたアクセサリーを身にまとい、まるで外国の映画スターのような濃い顔の男性と一緒に並んでいる美女姿を見た大誠が純粋にうらやましそうな声を出した。

 バクバクとハンバーガーに食らいつきながら、颯人も画面に見入っている。スクープの文面を読みながら言った。

「前原裕哉《まえはらひろや》って何歳だっけ」

「そこに書いてあるじゃん……十八歳だって」

「あー、じゃあ変異期間ギリギリだったんだな」

「遅いくらいじゃね」

 そう言って、大誠がジュースをストローで吸い上げている。

「なぁ、知ってるか。C組の堂島《どうじま》の母親」

 意味ありげに目線を向けた大誠に向かって、颯人は呆れた表情を浮かべた。

「知ってるよ、変容者だろ?」

「え? 知ってんの?」

「当たり前だろ、あんなキレーで若い母親いるわけねーだろ」

「すげーよな。なんか、堂島に聞いたら、母親は十七歳で変異して、すぐに地主のオッサンに惚れられて結婚したらしい。まぁ、それが堂島のお父さんだけど」

 その情報は初耳のようで、颯人は「えー?」と言うと眉をひそめた。

「変容者になったからって、男のことなんか好きにならねーだろ」

「だよな」

「堂島も、まさかなぁ」

 颯人の頭の中には、いままさに変容をし始めている同級生の堂島《どうじま》 傑《すぐる》が浮かんでいる。

 母親が変容者である堂島はもともと小柄で色白だった。女子からも「かわいい」といじられるキャラクターで、本人もまんざらではなかったのだが、母親の影響があったのか無かったのか、堂島本人も十七歳になった頃に変容しはじめた。

「変容ってさ、本人が『あれーオレおんなじゃねー?』って思い始めたら一気に進むらしいぞ」

 大誠がつまんだポテトを振りながら説明している。颯人は興味なさそうに「知ってる」と答えている。

 

 二人が通う高校では、堂島と同じように二名の男子生徒が変容していた。すでにすっかり美少女として学園生活を送っているが、いまいちしっくりこないようでたまにガサツになる者もいる。

 しかし全員に共通しているのは、圧倒的なほどの美しさと、それを放っておかない男がいるということだ。それぞれにはすでに「彼氏」と「取り巻き」や「パトロン」がいた。

「堂島も彼氏つくんのかな」

 大誠がぽつりと言った。

「なんだよ、大誠、立候補すんの?」

 ニヤニヤと笑った颯人に向かって、大誠は赤い顔を横に振る。

「ふざけんな、ありえねーよ!」

「あはは、そうだろうな」

「堂島だろ? もう……堂島にしか思えねーよ」

「そうだよなぁ、堂島にしか思えねーよな」

 当たり前のことを言いながら二人で笑う。

 似通った背丈の黒い詰襟を着た二人の男子生徒は、肩を並べ、そうして十八歳を乗り越えた。

 

*****************

これをボツにしたのは、根本的におもんなさそうっていうのがあったのと

これだと颯人が変容する大学生までの期間が短く、心の準備ができているように思われかねないと思ったからです。

 

■なんかもうしんどいってなった時期

たぶんこのへんで(書き進めずにやめた方が自分の未来のためなんじゃね)と本気で思ってました。

18禁BLの時は、読者が少ない割には感想をいただけたりと、小さなコミュニティの中でも皆で夢中になっている感があったので

へこたれそうでもなんとかそこまで愚痴らずやれていたんだが、それもあまり無くテンションの下がりっぷりは危なかった。

tora-kaibuntei.hateblo.jp

でも書ききったのも自分のためになることでした。がんばった。

 

■印象に残ってること

前作を書き終えたときにはもうめちゃくちゃ書きたいシーンがあって

それが「変容者ソムリエ」のド変態が出てくるシーンでした。

颯人を暴行しようとしてやり返されたときのセリフ

 

「いてて、力強いね! ――まだ、あんまりじゅくしてなかったか~」

 

が書きたくて書きたくてたまらんかったんです。

書けたときの喜びはすごかったなぁ。

 

<キャラについて>

■仙波 颯人

名前は爽やかな感じを目指した+男だけど女になってもかろうじてどうにかなりそうな名前にした。

彼女もいたしゲイではないけど、幼馴染の大誠に友情以上の感情を抱いているという絶妙なライン。

大事だからこそ大誠の恋を本気で応援するいじらしさも欲しかった。

変容するまでのやんちゃさと傲慢さ

変容したときの動揺、恋に落ちたときの混乱

自分が愛されていることを認識したときの喜び

プロポーズを受けたときの感動、結婚式の感謝

母親になってからの強さ

全部書ききれて感慨深いです。読み返すと初めの颯人は結構むかつきます。

 

■國原 大誠

剛健な感じの名前で、とにかく真面目な朴念仁にしました。

当初はもっとウェイな感じをイメージしてましたが、堂島にずっと片思いをしていたという純粋さから

「ウェイはないわー」という自分の心の声が聞こえたのでこうなりました。

手品は、子供のころから大人になっても変わらない彼の大事なアイデンティティです。

大人になってからは、バーのお客の女性から遠回しに誘われているのにまったく気づいていません。

 

■堂島 碧良

名前の堂島は早々に決定していました。

自作でなんでか「地名・駅名」が名前に入ることがこだわり(?)なんですが

お分かりの通り大阪の地名の堂島です。堂島ロールとかでおなじみ。

碧良(あおい)は、女性でも男性でもいける名前で絶対に呼びたい響きでした。

「良」の字は他の候補もありましたが、姓名判断が良くなかったので「良」に決定しました。

なお「國原 碧良」でもいい運勢になるようにしてます。

最終ギリギリまで困ったのは「碧良」の本当の読み。

あまり納得いかないまま「あおよし」で一旦決めてたんだが、「良」の文字だけで「はる」と読むことに気付き

「あおはるじゃーん!」ということで決定。

 

そして堂島が、一番始めのキャラ迷走すごかった。

プロットを組んでも、なんかしっくりこず変更しまくりました。

<第一堂島>

完全に男だが色白、かわいい感じ。堂島 傑(すぐる)という名前のいかつさあり。性格は貧弱で守られ体質。

変容前から変容後までをしっかりと同級生に見られているという……なんかやだ……。

さらには大誠に恋をされるが、上記の通り「変容している」ことを全員が認識していたので

そこから大誠だけが恋に落ちるか?というのが微妙だった。

なお好きでもない大誠を体で籠絡する。アカーーーン!!

<第二堂島>

変容者だと偽った女。

なんの苦しみも知らず変容者を名乗るそんな女に、変容者になった颯人が理解されたいと思うのか?思わねーー!!!!ってことで早めにボツ。

<第三堂島>

変容者。ガチガチの攻めで性格が強烈。この性格は第四堂島に引き継がれている。(以下ボツプロット)

* * *

堂島に「私、大誠と付き合うことにした」と言われる。「はぁ?大誠はそんなこと一言も言ってねーけど」「言い辛いんじゃないの?」「オレに言い辛い事があるわけ無いだろ、妄想も大概にしろ」と言い放つ颯人。堂島にやにやと笑う「ごめん、大誠のことオトナにしちゃった」「私本気だから」

大誠に会う颯人「大誠、さっきオレ堂島に会った」大誠あわてた感じ。颯人苦しい表情「付き合ってんの?」大誠真っ赤「あー……うん」で、ヤッたことが露呈してくる。呆然とする颯人。

堂島対して颯人「あいつを弄ぶのやめろよ」「はぁ?言ったでしょ、私本気なの」「変容者が一般人を好きになるわけねーだろ」堂島「あんた勝手に私のこと決めないで」真剣に怒る表情。

* * *

くそビッチだぜー!

<第四堂島>

変容者と偽った男性(心は女性)で性格は強烈。ガチガチの攻め。だから颯人のことをガンガン攻める。

変容前の颯人とは丁々発止のやりとり。(以下、ボツ文面やプロット)

* * *

 わずかに責めるような瞳を向けてきた堂島へ、颯人は鼻息を吹き出して言い切った。

「だいたい変容者なのに大学進学してんじゃねーよ」

「は? なによそれ」

 明らかに堂島は気分を害しており、言い返す口調は強い。

* * *

つよい!なお18禁の方のボツプロットでは、第四堂島は婚約後に颯人を堂島開発の事務員にして会社で(略)

制服のスカートたくし上げて(略)

という、超肉食の感じでした。

<最終形態DOUJIMA!>

そんなこんなを経て、堂島が仕上がりました。

颯人の苦しみを理解するには、自分を抑制する努力と優しさが、そして「自分が愛している人を愛する人」をひっくるめて愛する強さが必要だった。

そのキャラを構築していくうち、童貞の大誠はオドオドしはじめ、堂島はもじもじしはじめ

二人のモダモダに颯人がやきもきする構図が出来上がりました。

 

■坂崎 杜環

シュッとした感じの苗字。杜環は作中でもあった通りの名づけ理由です。

あとこう、ちょっとふわっとした名前でインパクトのある、でもそこまでキラキラっぽくない感じを目指した。

瑠璃ママを憎んでましたが、憎むのをやめた純粋なチャラ男。

杜環の未来は、建築デザインを心理学面からも研究しつつプロジェクトメンバーとして実績を積み

アメリカで独立後二十七歳くらいで某国に戻りいくつか企業の建築を手がけて数年後

堂島開発から公園のデザインを打診され複数のデザイン事務所と戦いコンペで権利を勝ち取り、とうとう公園の完成にまで至る。という感じ。

なお、杜環という存在が生まれたのはギリッギリでした。たぶんけっこうなところまで書き進めてから、ボツにしたから、しばらく杜環という存在すらなかった。

その代わりにいたのが……杜環+工藤医師みたいなキャラです!!

 

■杜環+工藤医師のCEOキャラ

まるでハーレークイーン(読んだことは無い)のような俺様金持ちキャラ。ソフトマッチョで鍛えている。

突然出てきてなんかよくわかんない感じのキャラだったからプロット書いてすぐにやめた。

 

* * *

(※旅行に行った先でで大雪になり帰れず、親切な人が宿を取ってくれたがそのホテルのCEOで颯人をスイートに連れ込もうとしてるのを大誠が止めに来る)

CEO「お前はなんのつもりだよ、いつまでこの子を飼い殺す気だ」と言う。

颯人はCEOの肩を抱く手や完全に女性であることを意識させられる。(諦め)

呆然とする大誠。秘書に止められるまま、CEOにつっかかるのをやめてしまう。絶望する颯人「馬鹿大誠!大誠の馬鹿野郎!」泣きながら叫ぶ。諦めたように力が抜ける。CEO「いくじのないやつだな」

大誠「颯人……颯人、行くな!」手を伸ばして掴む。「お前が嫌がってるなら行かせたくない」

颯人「……こんなときでも、俺の気持ち次第なのか」悲しそうに言う。颯人「CEOさん、行こう」悲しそう「もう、いいんだ。俺は、あんたと泊まる」唖然とする大誠「うそだろ、颯人」「うそじゃない。俺は、俺の幸せを見つけないといけないから――大誠も、大誠の幸せを見つけて」「おれ……は、もう、お前が知ってるハヤトじゃない」悲しそうに笑う顔が美しい。「さようなら」

背を向けて去っていく。

(室内)口を押えて泣いている颯人。CEOが肩を抱いて部屋の中に入れる。ソファに座らせ「何か飲むか」と聞いても答えない。「ずっと泣かれているのは、俺もしゃくにさわるよ」と言ってハンカチを渡す。颯人、受け取って鼻を噛む。CEOに「レディーの作法じゃないな」と言われてグッと申し訳なさそうにする。その時点で女の気持ちがかなり出ている。CEOが颯人の顔をじっと見る「美しい。化粧をしなくてもその美しさなのか」と言う。「あんたは、どうして俺を」「オレ、じゃない。私と言いなさい」「――どうして、わ……わたし、を」と言うとCEOが「美しいからだよ」と言い切る。颯人の長いまつげが瞬く。

* * *

結局颯人はここでもちゃんと貞操を守れる感じで、そこは工藤ほど悪いやつじゃないので杜環感ある。

っつーね。でも全然面白くないよなこのキャラ。でもCEOがいたから杜環と工藤が生まれたと思ったらありがとうCEO!

 

■アキ

褐色がかわいい(笑)。ていうかかわいい褐色少年(少女)を書きたかった感すごい。

しかも闊達。たまらぬ。

 

■その他

気になるキャラいたらTwitterとかでも気軽に聞いてください。なんかあるかも。

 

■終わり方

ハッピーエンドなのかどうか、正直良く分からん感じにしてます。

ていうのも、政府(巨大組織)が後ろにいる問題って解決に物凄い時間がかかるわけで

それを颯人がチョイチョイしたからといって解決できるわけもない。

それに颯人がその先陣に立つと「変容者が得た平凡な幸せ」が失われてしまう。

颯人が望んだのは目立つことでも自分が担ぎ上げられることでもなく、愛する人と一緒に普通の生活をすることだ。

 

だからきちんと時間をかけて、そのあたりは世間的には改善していく方向性を見せたかった。

一方で組織の腐った部分はぐずぐずと根を張ってますよ、という感じです。

 

■未来(ぼんやりした設定)

大誠の子供である優誠を産んだ颯人ですが、年子で堂島の子供(男女未定)を産みます。

そしてさらに3年後くらいには、杜環の子供で双子?(男女未定)を出産。

皆で集まってわいわいご飯食べたりもします。

堂島はあおママと呼ばれてます。

大誠が、杜環の子供の授業参観に行ったりもします。

杜環は子供たちから「杜環」と呼ばれてます。アメリカナイズされているので杜環は平気。

 

なお、颯人34歳くらいで堂島開発経由で51歳くらいの会社社長と出会ってしまい、グズグズに抱か(略)

とかややブラックなイメージも持ってます。だって変容剤があるんだもの。仕方ないもの。

ただ、それでも颯人を信じて愛し続ける彼らは変わりません。

 

 

 

 

 そんな感じです。

また思い出したりしたら追記します。

あと、描いていただいた絵とかまとめてちゃんとしたい!

なのでまた後日、更新します。 

自作はWEBで書くより公募に気合を持っていきたいなぁ。 

皆様本当にありがとうございました!