下衆なマニヤの有神論

小説を書き続け(途中絶筆したが)十云年、自分の力が如何程のものか試したい。

【趣味】映画「ちょっと今から仕事やめてくる」鑑賞

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大分前に見たので、これも感想を忘れる前に書きたい。

【鑑賞条件】

◆日時:平日夜レイトショー

◆埋まり具合・客層: 埋まりは3割くらい。客層は男性社会人が多い印象。年齢も高めだと思ったが、はたしてその人達はこの映画をどう感じたのか。

 

前情報として……原作未読、他の映画の前に流れる予告で、見たいなーと思ったパターン。

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◆しょっぱなで見る気がちょっと失せる

 いっちばん、本当にしょっぱなのシーンで、美しい海から広がる星いっぱいの夜空を見上げる青年と少年のシルエットがある。

 何語だか分からない言葉で、なんか「星になったらママに会える?」みたいなのを会話しているんだが

 こちとら何も分かってないので「えwwww会社どこいったんwww何語wwwウェヘヘ」となってしまい

 突然の置いてきぼり感に見る気が失せる。

 やばい、このままだと見れる自信が無い……と思い約5分後。現代社会の映像に切り替わりました。あー良かった。結構長かったなあれ。

 

◆主人公とその周囲

 主人公の青山は、仕事は多分そこそこできるけど「空気が読めない」感じのキャラクターである。

 上手い事育てたら、きっと何の問題も無くちゃんと仕事が出来る人間だが、何せ上司の圧がスゲェ。

 上司の吉田鋼太郎キョワイ。もう字面見ただけでキョワイ(笑)。

 こんな理不尽に暴力振るったりあたり散らしたりする上司に当たったことはないなぁ。会社の風土もあるんやろうけど。

 自分は上司に「売上達成もしてないのに帰るの?ラクな仕事でいいね!」とか言われたりするが

「DE・SU・NE!後は残りの皆に期待してます!お疲れ様でしたー!ピャッピャー★」とひとっつも気に掛けず帰る。

もし。この主人公のように入社時から吉田鋼太郎みたいな上司だったら、ガチガチに恐ろしくてそんなのも言えないんだろうなぁ。

 

◆電車に飛び込みそうになる主人公青山

 気力が無くなり、絶望してなんとなくふらふらと電車に寄ってってしまう。

 うん、分かる。分かるよ。ここまでの展開はリアルで見ててしんどくなった。

 

◆ヤマモト

 福士蒼汰演じるヤマモト。謎の男という役だが、めちゃカワイイ。ウザかわいい。ストーカーかわいい。

 

◆ヤマモトの無茶を真面目に怒る主人公青山

 怒る内容が現実的で好感が持てる。もっと「お話的」な、非現実的な、その先を見据えたような言葉を使うかとおもいきや

 ちゃんと、ただの真面目な社会人の目線で意見を言っていてとても良かった。

 

◆ヤマモトの距離感

 スーツを買いにいくのについてってネクタイの色について意見を言ったり、すっかり彼女気取りなわけだが、そりゃあれだけの近さだったらゲイと疑われても仕方ないわな。

 「死にそうな顔をしている奴を放っておけなかった」とはいえ、その距離感はいかがなものか?

 しかし死にそうな顔をしている奴を止めるには普通の距離感より踏み込んだ、ヤマモトみたいな不躾な距離感が必要なのか?

 分からん。死にそうな顔をしている奴を見かけたことないし、気にかけてもないし、そもそもヤマモトでもないからわからん。

 

 

◆死ぬかどうか分からん奴を止めに、一回出た改札をもう一度入り直す

 すげーわ。一目ぼれだろそれ。

 いや、一目ぼれでもせんわそれ。

 

黒木華先輩素敵

 立ち居振る舞いがすっげぇ素敵!めっちゃエロ素敵ぃ。

あんな先輩だったらついていきたいどころか、好きになるやろ。なんで主人公は黒木華を好きにならんのだ?

 まぁ、結局は好きにならんで(傷が浅くて)良かったわけだが。

 吉田鋼太郎に抱かれているかと思えばそうでもなくて残念。黒木華先輩の顔が快感にゆがむのを観たかったんだどもなぁ。

 まぁ、期待する場所間違っとるわなぁ(笑)。

  先輩の役柄の気持ちも分かるから辛い。

 

◆自殺しようとする青山を必死で探すヤマモトにグッとくる

 ヤマモトは結局青山を自殺の寸前で引き留めることになるわけだがヤマモトを天使だと信じて疑わない

(正直多分どうでもいいと思ってしまっている)青山は、ヤマモトが現れたことを当然のように受け止めている。

 でも実際天使でもなんでもない、普通の人間のヤマモトは「青山の家を覗く→青山がいない→最近連絡しても全然でない→ヤバい」という思考にすぐ直結して、散々走り回り青山を探し回った結果、ギリギリで青山の自殺寸前に間に合ったわけで。

 主人公目線で進む話だから、見てるこっちも「あぁ、ヤマモト間に合って来たわぁ」くらいにしか思わなかったわけだが

 実際のヤマモトの必死さを映像で見せられると、かなりグッときた。

 

小池栄子いい女優になったなぁ……

 いい路線進んでますね。

カンブリアでは、いいツッこみや一般目線の意見をちゃんと言って、演技でも非常に重い役をしっかりとやっている印象。

 今回も凄い良かった。「この人、凄い頑張ってる(努力家)なぁ」といつも思う。

 

◆青山の気力の無さに深く共感する

 仕事の失敗で、ヤル気も無くして気力も無くして何もする気が起きない青山。部屋が汚くなり、実家から送られてきたブドウは食べられる事なく萎びてハエが集る。

 ――正直、見ていて非常に辛くなった。リアルすぎるやろ、あれ。

気力が無くなると、何もする気が起きないのはもちろんのこと、親の気持ちすら煩わしくなる。アドバイスをはじめとした優しさに応える気力も無いため

「そんな事言われたってこっちはどうしようもねーよ」という感情が沸き、結果苛立ちや「もうしつこいわ!」というオチになる。

 自分も、親から送られてきたジャガイモを腐らせたことがある。それを思い出してすごく悲しくなった。親、ゴメン。

 

◆青山の実家のシーンで号泣してもうた

 で、実家。青山は、会社(?)をクビになった父親を恥ずかしいと感じていたわけだが、めっちゃ農家やってるやん……

 軌道に乗るまで大変だったかもしれんけど、少なくとも子供を大学に行かせられるぐらいの感じやったんやん……で、今はやってる農業が普通にイケてるやん……

 何が不満だったのかちょっとわからん。クビになった事が恥ずかしいというのがわからんのもあるけど

 その後取り戻してしっかり生活しているのになんでそんな言われ方せないかんのじゃろうか……

 持ち直してしっかりやってる親を誇らしいと思わないんじゃろうか……

 

◆「辞めます!」

 仕事を辞める事を言い切った青山だが、その言いざまは決して捨て台詞になっておらず、しっかりと元・仲間だった皆を思いやる内容と態度だった。

 安易に「ざまぁみろ、やめてやった」という雰囲気ではない。そうした方がカタルシスもあるんだろうけど、それではリアリティに欠けるし

 残された側には、それはそれで影響(問題)があるわけで。

 辞める側と残される側のリアルな心境がにじみ出ていて、凄いと思った。

 まぁ、会社から出て「辞めたったどーーー!ウヒョー!!」となる気持ちは分かる(笑)。

 

◆終わり方……

 原作もあんな終わり方なの???

 あんなブロマンスみたいな感じなのか???

 主人公がヤマモトをゲイじゃないかと疑うシーンがあるが、その勢いで普通に過ごしていて欲しかったなぁ。

 わざわざヤマモト追っかけて移住せんでもええやん。会うだけでええやん。アイツはあっちでやりたい事(叶えたい夢)叶えて、自分は日本で普通に幸せ見つけよう、でもいいやん。

 それがダメだったのはなんでだろう??

 ……と考えると、明らかにヤマモトの境遇や意思に心揺さぶられ、その人柄に魅せられ、共にヤマモトの夢を叶えたい、自分の夢もそこにあるだろうと思ったからに他ならない。

 それって恋やんか。もう。

 あのまま二人一緒にあそこおったら、2週間以内に処女喪失やぞ主人公。←言いすぎ

 

◆エンドロール入りぎわ

 海岸で追いかけっこをする現地の子供と青山。現地の少女が転倒しても助けない青山www

 大丈夫か、その心意気で!普通助けるだろ、助け起こすだろ。

 気丈にも子供が自分で立ち上がって追いかけてくるじゃないか!

 その後をさらにおいかけるヤマモトが、その子をちょっとかまっている所に癒される!

 大丈夫か青山!

 

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つーことで、★★★☆☆ほしみっちゅ!

なんかこう、自分としてはそこまでスッキリもしないというか、ちょっとモニョモニョが残るというか。

だがこの主人公に関しては万々歳なんだろう。

 

まぁ、泣いたわ(笑)。