【趣味】映画「ジャッキー ―ファーストレディ 最後の使命―」鑑賞
以前何かの映画を観た時にやっていた予告で、見れたら見たいなぁ……と思っていた「ジャッキー」を観ることができた。
毎度おなじみ完全ネタバレで感想を書きたい。
<鑑賞条件>
◆時間帯:平日昼
◆客層・埋まり具合:埋まり具合はほぼ100%。おそらく公開終了が近かったこともあるが、男女比は2:8くらい。
やはり(精神的に)強い女の映画は女性が多い。同じく、(精神的に)強い男の映画は男性が多いと感じる。肉体的に強い男どもの集団に関しては男女比はこの限りではない。
<ネタバレ(つーてもそもそもノンフィクションテイストだが)感想>
ジャッキーとはジャクリーン・ケネディの事で、昔から様々なテレビ番組でその人生が取り上げられた女性である。
しかし、その内容はどちらかというとゴシップに近く、彼女が本当のところどう思っていたのか、葬儀までをどう生きたのか等は取り上げられてこなかった。
主役のジャッキーをナタリー・ポートマンが演じることもあり、スタートからB級映画レベルのものではないのは分かっているが、
内容が内容なだけにどうなるか不安である。
内容が重いと、意外と視点がズレてきて「サラッと終わる、見ただけの何の感想も抱かない映画」になるパターンはちょいちょいある。
展開としては、JFK死後の2週間後?くらいに、家に取材をしに来た記者に話をする、という流れ。
始めはジャッキーの話の通り、選挙の為にダラスを訪れるシーンから始まる。
その後悲しみに暮れ、葬儀に追われ、ホワイトハウスも追われる流れである。
有名なパレードで暗殺されるシーンはそこでは描かれず、かなり後半になってからジャッキーがやっと喋る気持ちを持ったときに描かれる。
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【ジャッキー タバコ吸いまくり】
・すっごい勢いでタバコ吸いまくる。JFKが亡くなった後日も、それから2週間後くらいの取材の時も、ガンガン吸いまくる。
そうしてタバコの煙を吐きながら「私はタバコは吸いません」とキッパリ言い切っている。格好いい(笑)。おそらく、記事にもタバコの事は一切書かれなかっただろう。
【神父が話したイエスのたとえ話にツッコミをする右手を抑えるのに必死になる】
・JFK死後、神父に自分の胸の内を訴えるジャッキーに、神父が「これは例え話だが……」と話をはじめる。
「イエスと、その弟子が歩いていると盲人がいた。盲人を見た弟子が『あの盲人は、どんな罪を犯して盲人になったのですか』するとイエスが答えた。『彼は罪を犯していない。髪の御業(みわざ)のために盲人なのだ」
イエスは、盲人に「〇失念〇の地へ行き、そこにある池で目を洗いなさい」と伝えると、実際に盲人はそれを実行し、目が見えるようになって喜んだ。
「自作自演じゃね―――――――――か!!!!!」
神様はなんなんじゃ?自分の「ドヤァ」を見せたいから、罪も無い人を盲人にしたというのか?
「ドヤァ」したから何なんだ?信仰が深まるとか、そんなのは自分の利益だけの話ではないのか?罪も無い人の人生、悲しみや苦労はどうなるんだ?
極論、「いや、神さえおらんかったら盲人は盲人たりえなかったのではないか?」等色々考えたが、結果的にやっぱり「神の御業の為に盲人にされるなんてゴメンだ」という結果に落ち着く。
宗教観の問題なんじゃろう。自分はそういう考えは理解できないが。
【ジャッキーの悲しみ】
・JFK死後、一人でホワイトハウスへ戻り、JFKが好きだった舞台キャメロットのレコードを掛けながら
酒を煽りまくり、ドレスをとっかえひっかえ着て、薬を飲みまくり、煙草を吸いまくりのシーンでは可哀想すぎてたまらんかった。
何の説明もなくそのシーンに突入したんだが、切羽詰まったナタリー・ポートマンの表情にも、動作にも、溢れんばかりの悲しみを感じた。
ナタリー・ポートマンすごい。
【有名な息子の敬礼なし】
・葬儀で、協会から馬車で遺体が運ばれるときに、息子が敬礼をする姿がメディアに映り、世界の涙を誘ったわけだが
今回の映画ではその有名なシーンは無かった。意外。子役が出来なかったのかなぁと思った。
【ナタリー・ポートマンやっぱりすごい】
・社会派作品ばかりに出ろとは思わないけど、正直SWとソーはナタリーではもったいなかったんじゃ……と思わずにはいられない。
特にソー。もっと頭の軽そうな(暴言)最近のカワイイ子にさせれば良かったのではないか。
ナタリーでは聡明すぎやしなかったか。ま、神に似合う相手っつーたらおバカさんイメージではダメだったのかとは思うが。
いやー勿体ない!
【ジャッキーの記憶】
・記者に、JFK狙撃の時の事を覚えているか気かれて、始めは「覚えていないわ」と初っ端から言い切っていたが
話すうちに「本当は覚えている」と言ってぽつりと語り始めるところが、胸の内が迫るようで畏怖すら覚えた。
【JFK殺害容疑者が殺されたアァー!】
・JFK殺害容疑者のオズワルドが護送中に、別のやつに殺された!!
ホワイトハウス内で中継されていた護送のシーンを見ていて、殺害されたのを知った関係者とJFK弟(ボビー)は、テレビを消して「このことはジャッキーには秘密にしよう、混乱する」と判断。
そうして行われた参列?葬列?で、子供たちと3人で世間に姿を現すわけだが、その時のジャッキーはオズワルドが殺されたことを知らなかったらしく
数時間後?後からそれを知って激怒、ボビーに怒鳴り散らし「どうして秘密にしていたの!あの男が殺されるなんてどういうことなの!
知らずに外に出たじゃない!私と子供たちを危険な目に遭わせたわね!どこから撃たれるか分からない、とても危険だった!!歩いて国葬をするのはヤメます!ヤメヤメ!」
的な事を散々言い、(ちなみに徒歩で国葬をするのは危険だと誰からも言われたのを押し切ったのは、夫を神格化したいジャッキーの意思だった)
ボビーは「分かった、明日は歩かず車で行く、そう各所にも伝える」と、義姉の気持ちを汲んでOKしたにも関わらず
その後ジャッキーはまた「やっぱり歩くわ」と変更。いや、混乱しとるのは分かるから別にジャッキー責めないけど
ボビーがイイ男すぎて悲しい。めっちゃ必死に義姉をサポート。ジャッキーへの取材をもとにしたこの作品で、あれだけいい男に描かれているということは
相当ジャッキー自身が頼りにして、実際頼りになってたんだろう。
【ホワイトハウスの寝室】
・ジャッキーが夫婦で使っていた寝室で「とても落ち着く、歴史ある家具もたくさんあって好き」と言ったところ、JFK弟ボビーは吐き捨てるように(やや嫌そうに)
「そうか?ここで300万(?)の奴隷が解放されるサインがされたんだぞ。こんなところ僕には緊張しか感じない。ここで行われた輝かしい偉業に比べたら、兄も僕もやっていることはクソだ。クソにしかならない!」
みたいな事を言ったのが印象に残った。ボビー、劣等感や正義感で苛まれてたんだろうなぁ……。
【子供の死】
・JFKが暗殺されたタイミングでは、娘と息子がいたが、それより前にも子供が2人いた。亡くなったその子供たちの話が今回よく出てきていた。
メディアでは言われていなかった、女性としての深い悲しみの部分だと思う。
【ジャッキーのコメント】
・「ジョンソン大統領(JFK死後に就任)は、私に対して寛容だった」
という言葉で少し救われた感じがした。ジョンソン自体が、陰謀説が根強い人物であるためどうしても暗いイメージがあったためだ。
【記者からの「余生をゆっくりすごしたらいいのに」みたいな言葉に対して】
・ジャッキー「平民だったらそうでしょうね」
というのが、嫌味でない(笑)。ごもっとも!という感じ。
なにしろ、その言葉は99%悲しみで構成されていたのが分かったから。
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<総評>
結局、映画の中で何度もジャッキーが「今のは載せないでよ」「最後に私が検閲します」と言っている通り、おそらく残っている話の中にはジャッキー自身がいいように
変えてしまった真実もあるんだろう。
あくまでもジャッキーが見せたい、思わせたい「自分の印象」を明確に持っており、そうなるようにメディアを操作した印象すらある。
しかしそういう事をふまえても、多くあったのは「夫や子供を亡くした悲しい女性」の部分だ。
改ざんも含めて、ジャッキーの歴史だと思って見るべきものだと感じた。
展開としては、JFKの葬儀までの3日間の話だったわけだが、
「記者の質問に答える」形で展開していく内容が、いつのタイミングの話なのかが微妙にわからなくなり混乱した。
ダサいかもしれんが、自分のような鳥頭には「〇日目」とか、時間表記が欲しかったところ。
★★★☆☆
見て良かったと思う。ナタリーの演技も含めて。
余談ではあるが、これを見る前日にシナトラのアルバムを購入して、意気揚々と聞きながら映画館に行き、見て、聴きながらJFKについて調べよう★と思ってWiki見ていたら
なんと、シナトラからマリリン・モンローを紹介されて(美人局?)モンローがJFKの愛人になっとったり
マフィアがシナトラ経由でJFKにコンタクト取ったりしていたのを知って、もう顔が(´・ω・`)です。
なんなん……タイムリーすぎるやろ……しかもモンロー紹介して愛人にさせるて……
Wikiではジャッキーがそれをめっちゃ辛いと思ってたみたいやんけ……。
映画を観た自分はがぜんジャッキーの味方なわけで(笑)
「シナトラ わるいやつ おれ シナトラ きらい」
となり、一旦再生を止めるしかない。知らなかったとはいえ、衝撃の展開だった。